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屋根の豆知識

瓦なのに軽い?「防災瓦」について解説します。

2025年2月27日

住宅の屋根には瓦や金属、スレートなどのさまざまな種類があります。近年では使用されることの少なくなった瓦屋根ですが、耐久性の高さから未だに根強い人気がある屋根材でもあります。なかでも防災瓦は、台風や地震の多い日本に適応するように進化した屋根瓦です。

この記事では、防災瓦を中心に瓦屋根と地震の関係、軽量瓦について、防災瓦のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。防災瓦や瓦屋根について詳しく知りたい方や、新築を検討していて屋根材選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

瓦屋根とは

瓦屋根は、古くから多くの日本家屋に使用されてきた歴史のある屋根材です。多くの方がイメージする一般的な瓦屋根は、釉薬瓦(ゆうやくがわら)と呼ばれるのもで、原料の粘土を瓦の形に成型した後に釉薬(ゆうやく・うわぐすり)と呼ばれるガラス質の薬品を塗り、高温で焼き上げて製造する瓦です。お茶碗などの陶磁器のようにガラスの膜で表面を覆うため、陶器瓦(とうきがわら)とも呼ばれており、耐水性が極めて高く、屋外でも50年以上の耐久性を発揮する特徴があります。昨今のさまざまな種類の屋根材には、耐水性を高めるために塗装による塗膜が表面に形成されていますが、経年とともに塗膜が劣化するため、定期的に塗り替えを行う必要があります。反面、ガラスの膜で覆われた釉薬瓦に定期的な塗り替えは必要ないため、塗装メンテナンスの手間やコストを考慮せずに済みます。釉薬瓦の他にも、釉薬を塗らずに高温の窯の中でいぶして製造する「いぶし瓦」や、原料の粘土をそのまま窯で焼いた「素焼き瓦」などがあります。また、セメントを原料にした「セメント瓦」もありましたが、耐久性に問題を抱えたものが多く、現在では製造販売されていません。

瓦屋根は地震に弱い?

地震で瓦屋根の家屋が倒壊している映像を見た事がある方も多いのではないでしょうか。瓦屋根は他の屋根材と比べて重量があるため、地震が起きた際に建物の揺れが大きくなると言われています。屋根といった最も高い場所に重量物があるため、建物の重心が高くなり、揺れが大きくなるといったメカニズムです。実は建物が揺れる仕組みは、瓦屋根だけが原因になっているのではなく、住宅の躯体部分である柱や壁などの構造でも変化します。屋根に瓦を使用する前提で建築される住宅は、重い屋根に耐えられるような構造の躯体に設計されるため、地震による揺れに弱いとは一概には言えません。とは言え、屋根に掛かる重量が軽ければ建物への負担も減少するといった考えから、近年では瓦屋根よりも軽量な屋根材が選ばれるケースが多くなっています。

防災瓦とは

防災瓦とは、従来の瓦に落下防止の機能を持たせたもので、地震や台風の際に屋根瓦が落下・飛散するのを防ぐ効果があります。従来の屋根瓦は、屋根に瓦同士を重ねて並べるように葺いていたため、地震の揺れや台風による強風で瓦がずれたり落下したりする事がありました。防災瓦は、瓦同士を連結するための爪や溝、屋根の下地である野地板に釘で固定するための穴を設けたものがあり、瓦全体を繋げることによって地震の揺れや風に対してズレや落下を起こさないような仕組みになっています。

また、令和元年(2019年)に発生した房総半島台風では、多くの住宅の屋根瓦が剥がれ飛ばされる被害が発生しました。この被害を受けて、令和4年1月1日以降に新築される瓦屋根の建築物には強風対策を講じる必要が生まれました。施工ガイドラインでは、瓦屋根のむね部はねじで固定、平部(屋根の平らな部分)はくぎ等で緊結、軒・けらば(屋根の端の部分)は3本のくぎ又はねじで緊結するなどの対策を講じる必要があります。台風の影響を受けやすい地域では、使用できる瓦の種類や緊結方法が異なるため注意が必要です。

出典:国土交通省「令和4年1月1日から瓦屋根の緊結方法が強化されます

防災瓦と軽量瓦

防災瓦の重量は、1㎡当たり42kg前後の製品が多く、従来の瓦と比べて特別に軽いわけではありません。耐震性を上げるために屋根の軽量化を考えていて、なおかつ瓦屋根にこだわりたい方には、瓦の厚みを薄くして軽量化させた製品がおすすめです。1㎡当たり35kg前後に抑えられている瓦もあるため、平均的な防災瓦と比べて1㎡当たり7kgほど屋根を軽くできます。また、ケイミュー株式会社の屋根瓦・「ROOGA雅(ルーガみやび)」は、一般的な粘土瓦ではなく、樹脂繊維混入軽量セメント瓦にはなりますが、1㎡当たり20.4kgほどの軽さに抑えられており、瓦でありながら屋根重量の低減に大きく貢献します。

防災瓦のメリット

防災瓦のメリットは次の通りです。

✅地震や台風などでズレにくい・落下しにくい
✅従来の屋根瓦に比べて軽量なものもある
✅耐久性が極めて高い

地震や台風などでズレにくい・落下しにくい

防災瓦の最大のメリットは、台風や地震などで屋根瓦がズレたり落下したりすることを防げる点です。もし、強風によって屋根瓦が飛散してしまえば、近隣に落下して事故に繋がる可能性もあります。とくに古い日本家屋の屋根瓦は、屋根の上に土を敷き、その上に瓦を並べて設置するだけであったため、地震や強風で当たり前のように瓦のズレ・落下が起きていました。防災瓦は、地震や台風などの自然災害に適応するように作られた、理想的な屋根瓦と言えます。

従来の屋根瓦に比べて軽量なものもある

前述しましたが、従来の屋根瓦に比べて軽量な製品もあります。現在製造されている屋根瓦のほとんどは、防災を意識した形状になっているため、軽量な瓦を選んでも防災機能が大きく低下することはほとんどありません。屋根重量を低減させたい場合には、軽量な屋根瓦を選択しても問題はないでしょう。ただし、軽量な瓦は厚みを薄くして作られていることも多いため、重量の他にも静穏性や遮熱性などの優先したい事をよく検討して判断するようにしましょう。

耐久性が極めて高い

防災瓦に限らず粘土瓦全般に言える事ですが、釉薬によるガラスの層に守られているため、極めて耐水性が高く、50年以上の耐久性を発揮するものも珍しくありません。これは他の屋根材にはない粘土瓦ならではの特徴であり、瓦屋根にこだわる方を引き付けるポイントでもあります。再塗装が必要な屋根材では、およそ10~20年で塗り替えが必要になるため、先のメンテナンスを心配する必要がないことは大きなメリットと言えます。

防災瓦のデメリット

防災瓦のデメリットは次の通りです。

✅施工費用が高い
✅他の屋根材と比べて重量がある

施工費用が高い

瓦屋根は、材料費・施工費ともに他の屋根材に比べて高くなる傾向にあります。また、重量のある屋根に合わせて柱や壁を強くする必要があるため、住宅そのものの建設コストも上がりがちです。また、屋根のむね部分に漆喰が使用されている場合には、漆喰の詰め替えも必要になります。上記の通り、塗装メンテナンスのコストは掛かりませんが、予算が限られている場合には、瓦以外の屋根材を検討するのも良いでしょう。

他の屋根材と比べて重量がある

瓦屋根は原料が粘土であるため、他の屋根材に比べて重量があります。現在主流の屋根材である金属屋根の1㎡当たりの重量は約6kgセメントが原料のスレート屋根は1㎡当たり約20kg平均的な防災瓦屋根は1㎡当たり42kg前後なので、金属屋根に比べて7倍重いことになります。屋根の重量をできるだけ軽くして耐震性を優先したい場合には、金属屋根やスレート屋根、前述した樹脂繊維混入軽量セメント瓦などがおすすめです。

まとめ

この記事では、防災瓦を中心に瓦屋根と地震の関係、軽量瓦について、防災瓦のメリット・デメリットなどを詳しく解説しました。耐久性が高い瓦屋根は、日本の住宅に多く採用されてきましたが、地震や強風でズレたり落下してしまう弱点がありました。その弱点を改善するために、瓦同士をつなぐ爪や溝、固定の為の釘穴を瓦に設けたものが防災瓦です。多くの屋根瓦メーカーが防災瓦を製造しており、なかには比較的軽量なものもあります。防災瓦は他の屋根材に比べて施工費用が高くなりやすく、重いといったデメリットがありますが、極めて高い耐久性と塗装メンテナンスが不要な点が根強い人気の理由です。耐震性を最優先して施工費用を抑えたい場合には、他の屋根材とよく比較して優先したい目的に合った屋根材を選ぶようにしましょう。

屋根修理会社ウェルスチールは、埼玉県春日部市を中心に、多くの住宅屋根の修理・メンテナンスを行っております。瓦屋根のメンテナンスや葺き替え、外壁塗装や防水工事なども承っておりますので、ご用命の際はウェルスチールにお気軽にお問い合わせください。

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