2024年2月26日
近年耐震性の観点からも「軽い」「耐久性高い」という特徴から金属屋根が多く使用されるようになってきています。
ただ、最近の金属屋根は「エスジーエル鋼板」「ガルバリウム鋼板」が主流となっており、「トタン屋根」は年々減ってきています。
そこでここではそんなトタン屋根のメンテナンス、修理方法、張り替え費用などについて紹介していきたいと思います。
最近広く普及しているガルバリウム鋼板は1982年に登場しました。
つまりそれよりも以前の金属屋根は基本的に「トタン屋根」ということになります。
ここではそんなトタン屋根について概要を紹介していきます。
ガルバリウム鋼板は登場したのは1982年ですが、広く普及して使われていったのは1990年前後からです。
つまりそれより以前の金属屋根はトタン屋根が基本となっていました。
トタン屋根の歴史は非常に古く、100年以上の歴史があります。
特に「軽い」「扱いやすい」「安い」といった特徴があったことから住宅、工場、倉庫など幅広く利用されてきました。
戦後、数多くの建物を建設していくことが求められたときにもトタン屋根は大活躍しました。
こうしてトタン屋根は広く普及していったのです。
1990年ごろから急激にガルバリウム鋼板の屋根材が増えていったのはそのころに社会的な問題として酸性雨があったことが関係しています。
このころに使われていたトタン屋根では耐久性が低く、酸性雨に対して抵抗力がないということでより強化されたガルバリウム鋼板が必要とされたのです。
また、戦後の物資が少なかったころには「軽い」「安い」「扱いやすい」というトタン屋根は非常に重宝されましたが、トタン屋根は「夏に暑くなる」「雨音が響いてうるさい」「耐用年数が短い」といった問題点も多い屋根材です。
一般の人々の生活が安定してきたこのころにはわざわざトタン屋根を使わなくても、もっと高性能な屋根材を使用したいというように変化してきていたのです。
現在使用されているトタン屋根は大きく分類すると4種類となっています。
メンテナンス、補修、張り替えを行う際にはどういった種類のトタン屋根を利用しているのかということが重要となるため、それらも押さえておきましょう。
こちらは屋根の軒に向けて垂直方向、棟から縦方向に木製の心棒を設置していき、そこにトタン屋根を設置していく屋根です。
この木製の心棒のことを「瓦棒」と呼んでおり、実際に瓦屋根が使われているわけではありません。
棟から軒までを1枚の金属板でカバーする形式となりますので、雨水が軒に向かって流れていきやすく、雨漏りに強い形状と言われています。
ただ、心棒が木製ということもあり、雨水が浸入すると心棒が腐食してしまうことがあるため注意が必要となります。
こちらは心棒を使わずに屋根材の端部分を折り曲げて結合させていくという形式です。
木製の心棒を使っていないため、心棒が腐食していくという心配がありません。
高い防水性を誇る葺き方ではありますが、最近多くなってきた工法ということもあって使用されているのはガルバリウム鋼板の屋根材が多くなっており、トタン屋根ではそれほど多くは見られません。
名前通りにトタン屋根を波型に加工した屋根材です。
もともと薄い金属板であるトタン屋根の強度を向上させるために波型に加工したものです。
こちらもガルバリウム鋼板の屋根材で多く見られる形状です。
トタン屋根を折り曲げることで台形が規則正しく並んでいるように加工したものが折板トタン屋根です。
この工法は工場、倉庫のような大きい建物の屋根で使用されることが多く、あまり勾配がない屋根でも使用することができるようになっています。
トタン屋根は最近では使用されることが少なくなってきていますが、以前は非常に多く利用されていました。
それはトタン屋根の「安い」「軽い」「扱いやすい」といったメリットがあるためです。
また、近年のトタン屋根は耐用年数が他の屋根材と比べると短いと言われていますが、昔は他の屋根材と比べると耐用年数が長い方でした。
屋根が軽いため、建物の構造をシンプルにできるという強みがあり、戦後とにかく多くの建物を建てなければならないという時に大活躍したのです。
構造がシンプルになると手間や費用をかけずに建築することができます。
トタン屋根自体も安いため、費用を抑えて建物を建てることができたのです。
こうしたメリットがあったため、トタン屋根は広く利用されてきました。
それなりにメリットがあったトタン屋根ですが、近年利用が減ってきているということはデメリットがあるということです。
ここではそれらのデメリットを紹介していきます。
トタン屋根がまったくなくなったわけではありませんが、近年金属屋根では「ガルバリウム鋼板」「エスジーエル鋼板」など高性能な屋根材が次々と出てきています。
トタン屋根とそれらの屋根材の価格がそれほど変わらないにも関わらず、ガルバリウム鋼板などはトタン屋根の3倍の耐久性があるため、わざわざトタン屋根を新しく購入する必要がなくなったのです。
トタン屋根は非常に熱伝導率が高い金属屋根です。
そのため、夏は日差しで熱くなり、冬は冷たくなります。
屋根が熱くなることで建物内は暑くなりますし、屋根が冷たくなると建物内は寒くなります。
遮熱機能を持った防水紙を張る、遮熱効果がある塗料で塗装するといった工夫をしなければ過ごしにくい建物となってしまいます。
同じ金属屋根でもガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板は屋根材の下部分に遮音効果がある断熱材があるため、そこまで雨音は響かないのですが、トタン屋根はそのままの金属板ですので雨音が非常に響きます。
かなりうるさくなるので、気になる場合は遮音効果があるシートを使うなどの工夫が必要です。
金属屋根の中でもガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板はかなり錆びに強いものとなっていますが、トタン屋根は非常に錆びに弱い屋根材です。
そのため腐食する、錆びる、破損するということが多く、それも大きなデメリットとなっています。
トタン屋根に不具合が出てきたら補修を行うのですが、補修には大きく分けて3通りの方法があります。
ここではそれらの3つの方法について紹介していきます。
トタン屋根本体がある程度健全な状態に保たれており、塗装が薄くなっている、少し錆びが出ている程度の場合は塗装を行うことができます。
基本的にはトタン屋根は錆びが広がってから対応するのではなく、錆が広がる前に錆止め塗装を行うのがポイントです。
薄い錆びであれば綺麗に洗浄し、錆止め塗装を行うことでそれ以上錆びが広がるのを食い止めることができます。
ただ、屋根塗装で補修できるのは錆びが軽度な場合だけです。
「錆びが広がっている」「錆びで穴が開いている」「錆びによって破損している」というような状態では塗装することはできません。
ここまで錆がひどい場合は「葺き替え工事」か「カバー工法」を行うことが必要となってきます。
屋根塗装を行う場合は数十万円程度の費用がかかってきます。
▷屋根は塗装?葺き替え?カバー工法?それぞれのメリットとデメリットを比較
カバー工法とは既存の屋根を撤去することなく、その上から新しい屋根を作るという工法です。
この場合は既存のトタン屋根の上から新しい屋根を設置していきます。
屋根が二重になるため、軽い屋根材を使うことになるため、基本的には金属屋根を設置することとなります。
既存のトタン屋根の上にルーフィングを設置し、その上からガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板の屋根材を設置していきます。
この時、遮音性や遮熱性を持ったシートなどを挟み込めば断熱性、遮音性を高めることが可能となります。
既存の屋根材をすべて撤去することがないので、手間や時間を短縮することができる方法ではあるのですが、カバー工法を行う際は既存の屋根が傷みすぎていないということが条件となります。
カバー工法を行うことで既存の屋根は補修できなくなるため、傷みすぎている場合などの場合はカバー工法を行うことはできません。
その場合は葺き替え工事を行うこととなります。
カバー工法を行う場合は50~150万円程度の費用がかかってきます。
〈施工事例〉
▷春日部市にて屋根カバー工法〈スレート屋根からガルテクトS〉
こちらは既存のトタン屋根をすべて剥がして撤去し、新しい屋根材を設置するという方法です。
もともとが金属屋根だったため、新しく設置するのも金属屋根となります。
完全に新しい屋根となるため、耐久性や耐用年数などはもっとも期待できる方法となるのですが、既存の屋根の撤去費用、処分費用などの費用がかかるだけでなく、撤去するのにも手間と時間がかかるという特徴があります。
部分的に葺き替えすることも可能ですが、交換しなかった部分だけが古くなり、そこがすぐに劣化してしまう可能性があるため、行う時は全面葺き替えをするのが基本となります。
屋根材を交換する際に葺き方も変更することができるため、耐水性が高い葺き方に変更するのも良いでしょう。
現在トタン屋根から葺き替えをする場合はほとんどがガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板が利用されています。
葺き替え工事を行う際には100~200万円程度の費用がかかってきます。
トタン屋根は昔はメリットが多かったため、広く利用されてきたのですが、近年ではガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板の方が高性能なため、徐々に減ってきています。
補修、メンテナンスを行う際にはガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板に葺き替えてしまう方が効率的だと言えるでしょう。
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