トタン屋根からの葺き替えで選ぶべき屋根材は?寿命と費用で比較
2025年12月23日
トタン屋根の葺き替えでは、金属板を使わなければならないことが多いですが、トタンではなく、ガルバリウムかエスジーエル(SGL)を選択するのが無難です。
トタン屋根の特徴とメンテナンスや葺き替え工事で注意すべきことを紹介します。
トタン屋根とは

トタン屋根とは、金属製の屋根材のことで、亜鉛でめっきした鋼板を屋根剤として用いているもののことです。
ただの鋼板の場合はすぐに錆びてしまいますが、亜鉛でめっきすることにより錆びにくくしています。
トタン屋根のタイプ
トタン屋根は、雨仕舞に優れた屋根材で、勾配の緩やかな屋根で用いられていることが多いです。代表的な屋根の形を紹介します。
・瓦棒葺きトタン屋根
45センチの間隔で棟から軒先に向けて木製の桟(瓦棒)を渡して、これにトタンを被せた屋根材です。
完全に一枚のトタン板で覆ってしまうため、雨漏りに対しては強い構造になっています。
そのため、勾配が緩く、他の屋根材を利用できない形状の屋根では、瓦棒葺きトタン屋根になっていることも多いです。
・立平葺きトタン屋根(縦ハゼ葺きトタン屋根)
桟(瓦棒)を使わずにトタンを被せていく工法です。
一枚のトタン板の端が凸状に尖っており、この部分をハゼと言います。ハゼを重ね合わせることで、トタンを被せるため、屋根全体が一枚のトタン板で覆われているのと同様の状態になります。
そのため、雨漏りに対しては非常に強い構造になり、0.5寸勾配のような陸屋根と殆ど変わらない勾配の屋根でも用いることができます。
・波板トタン屋根・折板トタン屋根
波型または、台形に加工されたトタン板を屋根材として用いている屋根のことです。
波型や台形に加工されているのは強度を出すためです。波になっている部分を重ね合わせることで、一枚の屋根に仕上げます。
一般住宅よりも、小屋や工場、倉庫、体育館などの大型施設で用いられていることが多いです。
トタンの特徴とメリット

トタンは100年近い歴史のある伝統的な屋根材と言えますが、様々な屋根材が登場している今日では、古い屋根材と言うことができます。
ただ、トタン屋根には様々なメリットや特徴があるため、あえて、トタン屋根を選んでいるというケースもあります。
✔軽量である
トタン屋根は、金属屋根の一つですから、屋根材の中では軽量な屋根材に相当します。
金属なのに軽量なのかと疑問に思うかもしれませんが、トタンの鋼板は非常に薄いため、屋根全体を覆っても、大した重量になりません。
屋根が軽量であるため、地震に対して強い建物になります。
✔材料費・工事費が安価である
トタン屋根の材料は、他の屋根材と比べても安価です。
また、施工も比較的簡単で、短時間で工事を終えられることから、工事費用も安くなります。
✔雨漏りしにくい
トタン屋根の大きな特徴の一つです。トタン屋根は、どの形状の屋根でも、屋根を一枚のトタン板で覆っているのと同じような状態になります。
そのため、雨水が浸入する隙間がほとんどなく、雨漏りに対して強い構造になります。
✔緩い勾配で葺くことができる
こちらもトタン屋根の大きな特徴です。
ほとんどの屋根材は、屋根材同士の間に隙間があるため、ある程度の勾配を設けて、雨水が地上に自然に流れるようにしなければなりません。
トタン屋根の場合は、雨漏りに強い構造になるため、0.5寸勾配、1寸勾配といった、緩い勾配でも、用いることができます。
トタン屋根の欠点

トタン屋根には、様々な欠点もあります。主な欠点を解説します。
✔錆びやすい
トタンは鋼板、つまり、鉄の板です。錆びないように亜鉛メッキが施されていますが、年月が経てば、徐々に錆びてしまいます。
そこでサビの進行を防ぐために、塗装を行うことが必須となっています。
✔断熱性が低い
トタン屋根は、夏場、屋根が太陽光によって熱せられて、目玉焼きができるほどの熱さになることもあります。
その熱気がそのまま室内に伝わってしまうことから、室内の温度も上昇しがちです。
冷房をたくさん使わなければならず、光熱費が上がってしまったり、エアコンが壊れやすくなるといったデメリットがあります。
そこで、断熱性の低さをカバーするために、屋根に断熱材を厚めに入れたり、トタン屋根の塗装の際に遮熱塗料を使うといった工夫が必要です。
✔遮音性が低い
トタン屋根は、薄い鉄板なので、遮音性が低いのも欠点です。
室内からの会話が漏れやすく、室外の音も入りやすくなります。
特に問題なのが、大雨が降った際は、トタン屋根に雨が当たる音が室内に響いてくるということです。
大雨の夜は音がうるさくて寝られないということもあるかもしれません。
これを防ぐには、屋根裏に吸音材を施工するといった工夫が必要になります。
✔トタン以外の選択肢がある
現在、あえてトタンを選ぶメリットはありません。トタン以外に優れた屋根材がたくさんあるからです。
同じ金属屋根でも、ガルバリウム鋼板の方が、トタンよりもサビに強いですし、価格も大差ありません。
トタン屋根のメンテナンスの目安
トタン屋根は、10年程度をめどに塗装を行うことで、長持ちさせることができます。
その他、トタン屋根のメンテナンスが必要な劣化症状を紹介します。
✅トタン屋根の色褪せ
トタン屋根の塗装が色褪せてきた場合です。色褪せてきた場合は、見た目が悪いだけでなく、トタンを保護する塗膜が劣化している証拠なので、早めに塗装を行うべきです。
✅チョーキング現象が生じている場合
トタン屋根の表面に手で触れてみて、チョークのような粉がつく現象が生じるようになった場合です。これも、トタンを保護する塗膜が劣化していることを意味するため、早めに塗装を行うべきです。
✅サビが生じている場合
わずかにサビが確認できるという状態の場合です。
サビの進行の程度が深刻でなければ、サビを落とした上で塗装すれば、問題ありません。
✅深刻なサビが生じている場合
サビが深く、広範囲に広がってしまっている場合です。この場合は、トタンの強度が落ちていて、穴が空きそうな状態になっていると考えられるため、塗装だけでは対処できません。
穴が空いている場合
穴が空いている場合は塗装できないため、葺き替え工事等が必要になります。
トタン屋根のリフォーム方法

塗装以外のトタン屋根のリフォーム方法としては、カバー工法と葺き替え工事があります。
カバー工法
カバー工法とは、現在のトタンの屋根材の上に新しい屋根材を葺く工法です。
現在のトタン屋根を撤去しなくてよいため、処分費用や撤去工事の費用を抑えられるというメリットがあります。
しかし、古いトタン屋根が残ったままになるため、古いトタンのサビが進行してしまい、新しい金属屋根にもサビが移って錆びやすくなる恐れもあります。
また、屋根が二重になることから重量が増える点もデメリットです。
トタン屋根の建物は、屋根が重くなることを計算に入れていない設計になっている可能性もあるため、カバー工法を採用してよいのかよく検討する必要があります。
関連記事▷屋根のカバー工法とは? 詳しく解説!
葺き替え工事
葺き替え工事とは、現在のトタン屋根を撤去して新しい屋根材を葺く工法です。
古いトタン屋根は放置するとサビが進行してしまうので、すべて撤去してしまったほうがよいでしょう。
葺き替え工事で注意したいことは、屋根の勾配と耐震性です。
屋根の勾配が緩い場合は、トタン屋根を撤去して、瓦などの他の屋根材に変えることはできません。同じく金属屋根を採用する必要があります。
また、建物の構造上、屋根を重くできない場合も、金属屋根を採用する必要があります。
関連記事▷屋根の葺き替え工事とは?詳しく解説!
トタン屋根の葺き替えで選ぶべき屋根材
トタン屋根の葺き替えを行う場合は、金属屋根にしなければならないケースが多いです。
この場合でも、トタンを選ぶのではなく、他の金属板を選ぶほうが、耐用年数やコストパフォーマンスの面でも有効です。
現在の金属屋根のバリエーションは大きくトタン、ガルバリウム、エスジーエル(SGL)の3つに分けられます。
いずれも鋼板にメッキを施した金属板ですが、組成が異なります。
トタン:亜鉛100%のメッキ
ガルバリウム:アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%
エスジーエル(SGL):アルミニウム55%、亜鉛41.4%、マグネシウム2%、シリコン1.6%
ガルバリウムは、トタンに比べて防錆性能が飛躍的に向上した金属板です。
耐用年数は、トタンが10年から20年程度であるのに対して、ガルバリウムは、20年から30年程度あります。
エスジーエル(SGL)は、ガルバリウムの改良版で耐用年数が30年から50年程度もあります。
これだけ性能の差があると価格差も大きいのではないかと思われがちですが、この3つの鋼板の価格差は殆どありません。
そのため、トタン屋根からの葺き替えでは、ガルバリウムかエスジーエル(SGL)を選択するのが無難です。
まとめ
トタン屋根の特徴と葺き替え工事を行う際の注意点について解説しました。
今から、トタン屋根の葺き替えを行うなら、ガルバリウムかエスジーエル(SGL)を選択しましょう。
ウェルスチールは埼玉県春日部市を中心に首都圏で瓦、屋根修理、塗装工事や雨漏り修理を承っている職人直営店です。
トタン屋根の塗装やメンテナンスにも対応していますので、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。


