2023年7月20日
屋根修理の手法の中に「ラバーロック工法」と呼ばれるものがあります。しかし、この工法は注意が必要です。インターネットで検索すると、悪質な業者との関連性が指摘されることが多く、リスクを伴う施工方法として認識されています。
では、このラバーロック工法とは具体的にどのようなものなのでしょうか?本記事では、この工法の特徴や適切な施工方法、そして潜在的な危険性について詳しく解説していきます。
ラバーロック工法は、屋根瓦をコーキング材で接合する施工方法です。この手法は、強風や地震による瓦のずれや脱落を防ぐことを目的としています。
しかしながら、多くの専門家がこの工法の有効性に疑問を呈しています。「効果が限定的」という指摘や、「漏水リスクを高める可能性がある」という懸念が示されています。
さらに、ラバーロック工法は一部の不誠実な業者による不適切な施工や過剰請求と関連付けられることが多く、その評判を損ねています。特に訪問販売の文脈で悪用されるケースが報告されており、消費者の警戒を招いています。
ラバーロック工法は批判的な意見も多い手法ですが、適切に実施すれば確かな利点があります。ここでは、この工法の本来の目的と利点について詳しく見ていきましょう。
ラバーロック工法は主に瓦屋根に適用されます。瓦屋根は非常に長寿命で、50年以上、時には100年近く使用できる耐久性があります。しかし、この長期使用は同時に、屋根が長期間交換されずに外部環境にさらされ続けることを意味します。
年月を経るにつれ、太陽光や紫外線の影響で、高品質な瓦屋根でも微細な変形や歪みが生じることがあります。ラバーロック工法では、このような変形箇所をコーキング材で補修し、雨漏りを防ぎ、屋根全体の防水性能を向上させます。
一般的に、瓦屋根は釘やねじで固定されておらず、単に屋根の上に置かれているだけです。瓦自体の重量である程度固定されますが、完全ではありません。そのため、地震や強風時に瓦がずれる可能性があります。
瓦のズレが大きくなると、屋根全体の重量バランスが崩れ、最悪の場合、瓦が落下する危険性があります。ラバーロック工法では、コーキング材を使用して瓦同士を接着し、結束力を高めます。これにより、瓦のズレや落下のリスクを軽減し、屋根の耐震性を向上させることができます。
ただし、不適切な施工を行うと、接着された瓦が一度に落下するリスクもあるため、専門家による正確な施工が不可欠です。
ラバーロック工法には利点もありますが、いくつかの重要な注意点があります。以下に主な懸念事項を説明します。
この工法では、瓦の隙間を過度に塞ぐことで通気性が低下し、屋根内部に湿気がこもりやすくなります。これにより、木材の劣化や雨漏りの可能性が高まることがあります。
ラバーロック工法で接着された瓦は、分離が難しく再利用が困難になります。通常、瓦は長寿命ですが、この工法により将来的な柔軟性が失われる可能性があります。
将来の屋根修理やメンテナンス時には、接着された瓦の取り外しに extra work が必要となり、結果的にコストが上昇する可能性があります。
コーキング材の使用により、屋根の見た目が変化する可能性があります。また、時間の経過とともにコーキング部分が目立つようになり、美観を損なう恐れがあります。
瓦が連結されているため、万が一の落下時には複数の瓦が一緒に落下する可能性があります。
ラバーロック工法を正しく行わないと、屋根の状態が悪くなる可能性があります。そのため、適切な手順で施工することが大切です。以下に、この工法の推奨される施工方法をご説明いたします。
まず、コーキング作業の前に、既存の瓦をしっかりと確認し、必要があれば直します。瓦の状態が良くないと、ラバーロック工法の効果が十分に得られません。ひびや割れがある場合は、それらを直してからコーキングを行う準備をします。
棟瓦は屋根の一番上にあり、地震や強い風の影響を受けやすい場所です。ここには、平らな瓦(熨斗瓦)が交互に重ねられています。この部分のコーキングは、「T字の形」を意識して行います。こうすることで、少ないコーキングで瓦をしっかりと固定できます。ただし、すべての隙間を埋めてしまうと湿気がたまる原因になるので、注意が必要です。
平瓦では、雨水がスムーズに流れるよう気をつけながら、「L字の形」でコーキングを行います。具体的には、瓦の山の外側と下側の面だけにコーキングをします。この方法で、瓦をしっかり固定しつつ、下の部分の空気の流れも確保できます。また、コーキングの使用を必要最小限に抑えることで、見た目も美しく保てます。
施工が終わったら、コーキングの抜け落ちや施工の間違い、瓦の傷がないかを丁寧に確認します。すべてが問題なく完了していることを確認できれば、ラバーロック工法の施工は終わりです。
実際の施工事例
ラバーロック工法に関連する不適切な業者が多い背景には、一般の方々が適正価格を把握していないことが挙げられます。
ここでは、ラバーロック工法の一般的な価格帯について解説します。
通常、ラバーロック工法の施工費用は、1平方メートルあたり約1,000円、一軒家全体で15万円から20万円程度が標準的とされています。
これは、通常の屋根補修の約半分、全面的な屋根の葺き替えの約4分の1の費用に相当します。
初期の工事費用は比較的低く抑えられますが、その後の維持管理にかかる費用が予想以上に高くなる可能性があるため、長期的な視点で見ると必ずしも経済的とは限りません。
しかし、この工法が一部の不誠実な業者に悪用されるケースが見られます。
本来、短期間で低コストで実施できる工事であるにもかかわらず、こうした事実を知らないお客様に対して過剰な料金を請求する業者が存在します。
そのような業者の中には、「ラバーロック工法は万能である」「耐震性が大幅に向上する」といった誇大広告を用いて、顧客を惑わせるケースも報告されています。
特に注意すべきは、ラバーロック工法の施工によって耐震性能が劇的に改善されるわけではないという事実です。
むしろ、地震発生時には接着された瓦が一括で落下する危険性があり、安全性が低下する可能性すらあります。
これらの点を十分に理解した上で、ラバーロック工法の採用を検討することが重要です。
ラバーロック工法は、その評判に課題を抱えています。一部の不誠実な業者による不適切な使用が、この工法のイメージを損なっているのが現状です。
多くの信頼できる施工業者がこの手法を避ける傾向にあるのは、こうした背景が影響しています。
しかしながら、適切な技術と知識を持つ専門家によって正確に実施された場合、ラバーロック工法には一定の効果が期待できます。状況に応じて、慎重に検討しましょう。
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