2023年7月20日
近年金属瓦やスレート瓦などが増えてきているのですが、やはりそれほどメンテナンスを行う必要がない瓦屋根は根強い人気となっています。
そんな瓦屋根を支えているのが「漆喰」です。
そこでここでは瓦屋根における漆喰の重要性とそのメンテナンス方法について紹介していきたいと思います。
「漆喰」は5000年以上の歴史を誇る、世界中の建築物で利用されている塗り壁材の一種です。
ここでは漆喰の概要、役割、重要性について紹介していきます。
漆喰は日本でも昔から使われている塗り壁材であり、伝統的な家屋や城などでも利用されています。
使用は屋根瓦や石材の接着、目地の充填、外壁の上塗りなど幅広いものとなっています。
石灰石に水を加えた「水酸化カルシウム」を主原料としており、そこに「布海苔」「苆」「粘土」などを混ぜ合わせて水で練っていくことで作られています。
漆喰にはいくつかの種類があるため、それぞれ用途に合わせて使い分ける必要があります。
・本漆喰
一般的に「漆喰」と呼ばれているものです。
塩焼き消石灰、布海苔、苆、粘土などを混ぜて作られるもので、昔からの製法の漆喰だと言えます。
・土佐漆喰
こちらは塩焼き消石灰に発酵させたワラ、水を混ぜて作ったものです。
土佐漆喰は紫外線に当たると薄い黄色から茶色へと変色していきます。
また、強度が高いために床、壁、天井などに使用されています。
・琉球漆喰
現地では「ムーチー」「ムチ」と呼ばれている漆喰です。
これは沖縄の方言で「餅」を意味しています。
消石灰とワラと水を混ぜて作りますが、土佐漆喰よりもワラが多いのが特徴です。
沖縄では屋根の瓦に使用されています。
・既調合漆喰
塩焼き消石灰に海藻乗り、炭酸カルシウムなどを混ぜて作っています。
中には合成樹脂や化学繊維が入った漆喰もあります。
屋根で漆喰を使用する際には以下のような役割を果たしています。
・屋根の棟と瓦との隙間を埋める
・瓦と瓦の隙間を埋める
・瓦が滑らないようにする葺き土を雨風から守る
・瓦同士の接着に使用する
・雨風や小動物、ゴミなどの侵入を防ぐ
というものです。
漆喰は多くの役割を果たしているため、劣化してくるとさまざまな問題が起きてきます。
例えば漆喰の接着が弱まってくると瓦がズレることが多くなってきます。
瓦同士がズレてぶつかることで割れてしまったり、隙間から雨水が入ってしまうということもあります。
また、接着が弱まっているところに強風が吹くと瓦が落下してしまうということにもつながります。
屋根瓦自体は50年以上の耐用年数があると言われており、メンテナンスの必要性が長期間にわたって無いという特徴があります。
しかしそれを支える屋根の漆喰の寿命は15~20年ほどとなっているため、こちらのメンテナンスの必要性があります。
漆喰が劣化してくる原因としては以下のようなものがあります。
・雨風にさらされることで劣化する
・太陽光、紫外線を受け続けることで劣化する
・昼と夜、夏と冬などの気温差によって劣化する
・時間とともに経年劣化する
などです。
漆喰はそもそも時間が経ってくると徐々に硬くなるという性質を持っています。
そうして硬くなった状態で雨風にさらされ、気温差によるダメージが続くことによって劣化してしまうのです。
では漆喰が劣化してくるとどういった症状が出てくるのでしょうか。
何か症状が出てくるとメンテナンス時期に入っているといえますので、見逃さないようにしなければいけません。
ここでは漆喰が劣化してくると出てくる症状について紹介していきます。
棟と瓦を接着している漆喰が剥がれてしまうことで、棟の内部の土が雨風に打たれて流れ出てしまうということがあります。
瓦屋根にとっては棟部分は屋根を支える土台となる部分ですので、ここの土が流れてしまうことは「熨斗瓦がズレてしまう」「雨水が浸入しやすくなる」という被害に直結するものとなります。
さらにこうしたダメージは屋根のほかの部分や屋根裏などにまで広がってしまうので注意が必要です。
軒先に土やコンクリートの欠片のようなものが落ちている場合は注意しなければならないと言えます。
瓦が台風や大雨、地震などによってズレが起きたり、抜け落ちたりすることがあります。
こうして瓦がズレて隙間ができてしまうと、そこから棟の中に雨水が浸入していくこととなり、漆喰を劣化させていくということがあります。
こうなると瓦と漆喰との間の接着が弱まり、さらに瓦がズレていくという結果になります。
中に入り込んだ雨水が漆喰を流していってしまうということもあり、一気に剥がれていってしまうということもあります。
漆喰の劣化としてかなり症状が重いのが「雨漏り」です。
部屋内に雨漏りがしているということは屋根材の下部分の「ルーフィング」と呼ばれる防水シートにもトラブルが起きている可能性が高いからです。
防水シートが直接被害を受けているということは屋根材の下地もすでに雨水は通過しているということになるため、防水シート、下地、漆喰、屋根材などすべてを交換するような大規模な工事が必要になる場合があります。
雨漏りがしているということは漆喰だけでなく、ほかの部位もダメになっている可能性が高いのです。
漆喰が劣化していた場合は補修工事を行う必要があります。
どの程度劣化しているかによって大きく分けると2種類の方法があります。
ここではそれらの方法を順に紹介していきます。
漆喰のひび割れ、軽微な破損や剥がれなどそれほど深刻でない状態であれば「漆喰の詰め直し」という補修工事を行うこととなります。
これはその名前の通りに劣化してきている漆喰を取り除いて、新しい漆喰を充填していく工事です。
この工事を行う際には頂上部分にある「棟瓦」を外す必要がないため、期間や費用はそれほどかかりません。
劣化が軽微の際にはこちらの補修工事で良いでしょう。
大きく瓦がズレている、雨漏りがしているといった場合には漆喰の多くが剥がれてしまっている可能性があります。
これくらいまで劣化が進んでいると、一度棟瓦を取り外したうえで残っている漆喰や土をすべて取り除き、改めて土台を作り直したうえで漆喰の詰め直しを行い、瓦を元通りに設置していくという工事が必要となります。
かなり大規模な工事となるため、期間や費用も多くかかることとなります。
では実際に漆喰詰め直し補修工事がどのような順序で行われるかを紹介していきます。
まずどの部分の漆喰が劣化しているのかについて細かく点検をしていきます。
そして古い漆喰を取り除いていくのですが、劣化した漆喰は手で簡単に取れるほどボロボロでパサパサになっています。
古い漆喰が取り除けたら新しい漆喰を詰め直していきます。
表面がボコボコにならないようにコテなどを使って綺麗に仕上げていきます。
こうして漆喰の補修工事を行っていくこととなります。
漆喰や瓦屋根が劣化した場合にかかる費用ですが、これは地域や時期、漆喰の劣化具合などによっても大きく変わってくるため一概には言えません。
ここではおおまかな概算費用だけ紹介していきます。
漆喰の詰め直し補修を行う際には古い漆喰を取り除いて新しい漆喰を充填していきます。
こうした補修工事を行う際には1m当たりで計算されることが多くなっており、詰め直し工事の場合は4000~7000円程度が多くなっています。
一般的に漆喰は60mほどの場合が多いので、その場合には24~42万円程度となる計算になります。
ただ、屋根の補修工事の場合は足場を組む必要があるため、建物の大きさや高さに合わせて足場費用がかかってきます。
こちらは15~30万円程度となっています。
瓦が部分的にズレている、落ちている、割れているといった時にはその部分だけ交換するということも可能です。
どういった瓦を使うのかによって費用は大きく変わってくるのですが、瓦1枚当たりは1~5万円程度のことが多くなっています。
下地や防水シートが傷んでいる、劣化している場合はその部分の瓦屋根を一度取り除いて、下地や防水シートを補修する必要があります。
基本的にはそれまで使用していた瓦をそのまま使いますが、破損などが見られる場合はその部分を交換することも可能となっています。
費用は1㎡あたり1万円ほどとなることが多くなっています。
50㎡ほどの屋根であれば50~60万円程度の費用がかかることとなります。
漆喰が大きく劣化している、瓦がズレている、雨漏りがしている、耐用年数を超えているといった場合には屋根を全面張り替える「葺き替え」を行います。
これはかなり大規模な工事となり、工期も1ヶ月以上かかることもあります。
費用はどういった屋根材を使うかなどによって大きく変わりますが、100~300万円程度かかることが多くなっています。
また、このタイミングで屋根材を新しいものに変更するということも多くあります。
まとめ
瓦屋根は日本の伝統的な家屋で多く使われている屋根材です。
瓦自体は50年ほどの耐用年数があるため、それほどメンテナンスの必要性がないのですが、瓦を支える漆喰は20年ほどの耐用年数となっているため、劣化してきたら補修する必要があります。
劣化症状が出てきたらできるだけ早くメンテナンスを行うようにしましょう。
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