意外と知られていない!屋根と太陽光パネル設置の相性について解説
2025年5月28日
屋根に設置するタイプの太陽光発電を検討する方が増えています。今お住まいの住宅に太陽光パネルを設置できるのか、屋根との相性はどうなのか気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、屋根の形と太陽光パネルの相性や屋根材と太陽光パネルの相性、太陽光パネルを設置する際の注意点を詳しく解説します。現在太陽光パネルの設置を検討している方や、屋根と太陽光パネル設置の相性について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
屋根の形と太陽光パネルの相性
住宅の屋根には様々な形があります。それぞれの屋根の形の特徴と、太陽光パネルの相性を解説します。屋根の形と太陽光パネルの相性は次の通りです。
✅片流れ屋根
✅切妻屋根
✅寄せ屋根・方形屋根
✅陸屋根
片流れ屋根
片流れ屋根は、片方のみに傾斜が付けられている形状の屋根です。シンプルな構造ですが、狭い敷地面積でも住居スペースを確保しやすく、モダンな印象が人気で近年採用率が高まっている屋根形状です。反面、屋根の最も高い箇所に落ちた雨水が、傾斜とは反対方向の外壁に向かって流れ落ちやすい点や、軒が一方向にしかないため、他の外壁面が風雨や紫外線の影響を受けやすく、屋根と外壁の接合面が劣化しやすいことから、雨漏りを起こしやすいといった特徴もあります。太陽光発電との相性は非常に良く、広い傾斜面積を利用して多くの太陽光パネルを設置できます。屋根の傾斜が南向きであれば、様々な屋根形状の中で最も効率の良い太陽光発電が実現できます。
切妻屋根
切妻屋根は、正方形や長方形の屋根面を「への字」に2つ合わせた屋根です。通称三角屋根と呼ばれ、住宅屋根の形でもっともスタンダードな形状の屋根です。切妻屋根は雨漏りを起こしにくく、和風・洋風どのようなデザインにもマッチするため、住宅のデザイン問わず幅広く採用されており、住宅の建設における初期施工費も比較的安価に抑えられます。軒先のない妻面の外壁が傷みやすい点や、屋根のデザイン面で個性が出しにくいといった特徴もあります。傾斜が二面のシンプルな形状なため、太陽光発電との相性は良く、広い屋根面積を活かして多くの太陽光パネルを乗せやすい屋根です。屋根面が南北に傾斜している場合は、南面にのみ太陽光パネルを設置するケースがほとんどで、屋根面が東西に傾斜している場合は、東面・西面の両方に太陽光パネルを設置し、太陽の傾きに応じてバランス良く発電できるようにするケースが多いです。
寄せ屋根・方形屋根
寄せ屋根は、台形二面と三角形2面を合わせた形状の屋根です。落ち着いた印象があり、切妻屋根と同様に多くの住宅に採用されています。寄せ屋根と似た形に方形(ほうぎょう)屋根がありますが、こちらは三角形を頂点で4面合わせたタイプで、お寺などによく見られる形です。どちらも4つの屋根面で構成されており、耐風性が高く、強風や台風に強い特徴があります。4つの屋根面で構成される構造上、屋根面同士の接合部である「棟」が増えるため、切妻屋根と比べて棟からの雨漏りが発生する確率も増えます。太陽光パネルを設置する際には、東西南北4つの面にそれぞれ設置可能ですが、北面への設置は近隣住宅への反射光のトラブルが起こりやすいため、推奨されないケースがほとんどです。太陽光の当たりやすい南面に多くの太陽光パネルを設置できるように、方角や設置面積、各メーカーの太陽光パネルの形状などを確認しておくと良いでしょう。屋根の面に対して、正方形・長方形のパネルだけでは余白が生まれてしまうため、三角形の太陽光パネルを利用することで、屋根面全体をうまく活用できます。
陸屋根
マンションやアパートなど、鉄筋コンクリート造りに多い地面に対して水平な屋根が陸屋根です。屋根部分を屋上として活用できる点や、三角屋根と比較して居住空間を広くできるメリットがありますが、夏場は最上階が蒸し暑くなりやすいことや、平坦で水はけが良くないため、屋上の防水加工が劣化すると雨漏りを起こしやすいデメリットがあります。太陽光パネルを設置する際には、架台を用いて南向きに傾斜を付けて設置する方法を取るケースが多いですが、しっかりとした強風対策が必要不可欠なうえ、入念な防水対策を怠ると雨漏りを引き起こす原因になる場合があります。
屋根材と太陽光パネルの相性
それぞれの屋根材の特徴と太陽光パネルの相性は次の通りです。
✅スレート屋根
✅金属屋根
✅瓦屋根
スレート屋根
現代の住宅に多く採用されているスレート屋根は、正確には化粧スレートと呼ばれるものです。化粧スレートは、セメントと繊維質の材料を混ぜ合わせ、薄い板状に成型したものです。比較的安価・軽量で、デザイン面に優れることから、多くの住宅に採用されています。表面が比較的平坦であるため太陽光パネルの設置に手間が掛からず、比較的短期間で設置工事が済み、設置費用も抑えられるメリットがあるため、太陽光発電との相性は悪くありまん。ただし、化粧スレートを屋根に採用している場合、定期的な塗装によるメンテナンスが必要不可欠です。塗装メンテナンスを怠ると、耐水性が落ちて劣化が進み、耐久性が大幅に低下します。強度が落ちている化粧スレートに負荷がかかると割れてしまうことがあるため、太陽光パネルの設置前には、スレートの劣化が進んでいないかチェックする必要があります。また、取り付け架台を屋根にビス止めする場合には、防水処理をしっかりと行わないと雨漏りの原因になります。太陽光パネルを取り付けた際に発生するリスクや、長期的な維持管理が必要であることも理解しておきましょう。
金属屋根
現代の金属屋根の主流であるガルバリウム鋼板は、薄い金属鋼板にアルミ・亜鉛・シリコンをめっきしたものです。非常に高い耐食性を持ち、様々な屋根材の中で最も軽量な屋根材です。デメリットは、薄い鋼板素材であるため雨音が響きやすい点や、断熱性能が低い点があります。太陽光パネルとの相性は良く、もともと軽量な屋根であるため、耐震性の面から見ても有利なことに加え、表面が平坦であるため設置しやすく、特殊な金具や架台を必要としないケースも多いため、設置コストを抑えられます。スレート屋根ほど頻繁にメンテナンスを必要としないため、維持管理の面においても優れています。金属屋根は、太陽光パネルと最も相性の良い屋根材ではないでしょうか。
瓦屋根
瓦屋根は、古くから日本の住宅に多く採用されてきた伝統的な屋根材です。中でも代表的な粘土瓦は、成形した粘土を高温で焼き、釉薬を塗布したもので、非常に高い耐久性・防音性・断熱性を持ちます。反面、瓦自体の重量が非常に重く、1㎡当たりスレートのおよそ3倍、金属屋根のおよそ10倍の重さがあります。太陽光パネルを設置する際には、瓦の形状や配置に合わせて架台を設置しなければならないため、技術と経験を要します。また、元々重い瓦屋根であるため、住宅の構造が太陽光パネルの設置重量に耐えられるものであるかしっかりと確認する必要があります。正しい手順・工程を経て太陽光パネルが設置されれば、太陽光パネルのメンテナンスのみで長期間運用することが可能です。
太陽光パネルを設置する際の注意点
太陽光パネルを設置する際の注意点は、次の通りです。
✅事前に屋根のリフォームが必要な場合も
✅住宅の強度を確認する必要がある
✅地域によっては積雪の影響も
事前に屋根のリフォームが必要な場合も
スレート屋根など、劣化が激しく屋根材の耐久性が著しく低下している場合には、太陽光パネルを設置する前に、屋根の葺き替えなどの大規模な工事が必要です。なぜなら、劣化した屋根に無理に太陽光パネルを設置すると、雨漏りや屋根のトラブルが発生する可能性が高く、メンテナンスや修復が困難になるためです。太陽光パネルの設置を検討する前に、屋根の劣化状態はどうか確認しておきましょう。
住宅の強度を確認する必要がある
太陽光パネルを設置すると屋根にかかる重量が増えます。そのため、お住まいの住宅が何キロの重さに耐えられる設計になっているのか確認することも大切です。屋根重量が増えれば、地震が起こった際の建物の揺れ具合も大きくなります。太陽光パネルを設置するという事は、耐震性が下がるといったデメリットがあることも理解しておきましょう。
地域によっては積雪の影響も
お住まいの地域によっては、冬場の積雪の影響も考えなければなりません。太陽光パネルに雪が積もることで発電量が低下することや、パネルが破損する可能性、積雪の重量と太陽光パネルの重量が屋根に加わることなど、積雪のある地域ならではの問題があることも理解しておきましょう。
まとめ
この記事では、屋根の形と太陽光パネルの相性や屋根材と太陽光パネルの相性、太陽光パネルを設置する際の注意点を詳しく解説しました。屋根と太陽光パネルの相性について、4つの屋根の形との相性と、3つの屋根材との相性を解説しました。太陽光パネルの発電量を最大限生かせる最も適した屋根の条件は、「金属屋根材を使用した南向きに傾斜している片流れ屋根」です。もちろん、他の条件でも太陽光パネルを設置して発電することは可能です。太陽光パネルを設置する際の注意点は、屋根の劣化状態の確認・住宅強度の確認・地域によっては積雪の影響がある事を理解しておくことが大切です。
ウェルスチールは、埼玉県を中心に近県まで出張可能な屋根修理職人直営店です。屋根の葺き替えや雨漏り修理などはもちろん、屋根に関する工事を幅広く手掛けています。太陽光発電を検討している場合には、まずは屋根の劣化状態の確認がおすすめです。点検やメンテナンスのご用命も、ウェルスチールまでお気軽にお問い合わせください。