スレート屋根を塗装してはいけないケースとは?修理方法の判断基準
2025年12月23日
スレート屋根は、塗装により防水性を維持しているため、定期的な塗装工事が必要になります。
しかし、スレート屋根の状態によっては、塗装すべきではないケースもあります。また、一定のメーカーのスレート屋根材については塗装できないものもあります。
スレート屋根を塗装してはいけないケースについて解説します。
スレート屋根とは

スレート屋根とは、一般的には化粧スレートのことで、セメントと繊維素材を混ぜ合わせて薄い板状に加工した屋根材のことです。
セメントと繊維素材は、いずれも耐水性がありません。
そこで、塗装によって防水性を発揮しています。
スレート屋根の種類
スレート屋根には、いくつかの種類があります。それぞれどのような特徴があるのか紹介します。
✅天然スレート
天然スレートは、自然の粘板岩を板状に加工したものです。
歴史的な建造物などで使われていますが、一般家庭で使われていることは殆どありません。
✅化粧スレート
化粧スレートは、一般家庭で使われているスレート屋根のことです。セメントと繊維素材から人工的に製造し、塗装により防水性を維持している素材です。
✅石綿スレート
化粧スレートの一種です。セメントに繊維素材としてアスベスト(石綿)を混ぜて製造したものです。アスベスト(石綿)は建材の強度を高める効果がありました。
しかし、現在では、アスベスト(石綿)の利用が禁止されており、石綿スレートは製造されていませんし、新築現場で使われることもありません。
✅無石綿スレート
現在の化粧スレートは、アスベスト(石綿)を利用していないことから、無石綿スレートと呼ばれることもあります。
無石綿スレートが登場するまでは紆余曲折があり、最新の無石綿スレートであれば、かなりの強度がありますが、初期の無石綿スレートは、耐久性が低く大きな問題となっています。
スレート屋根は塗装が必要?

一般家庭で使われている化粧スレートは、セメントと繊維素材を主な材料とし、これに初期塗装を施したものです。
工場で生産されるときに塗装されているため、屋根に葺く際は、塗装を行う必要がありません。
しかし、初期塗装は、10年も経過すると劣化し始めます。
このまま放置すると、化粧スレートが雨水を弾かず、吸水するようになり、雨漏りの原因にもなってしまいます。
そのため、定期的に塗装工事を行うことで、防水性能を回復させてやる必要があります。
スレート屋根を塗装する目的
スレート屋根を塗装する目的は次のとおりです。
✅防水性能を回復させる
初期塗装が剥がれた場合、防水性能が失われてしまうため、これを回復させる目的で塗装を行います。
✅美観の回復
初期塗装が剥がれるまではいかなくても、色褪せてしまうと、見た目が悪くなってしまいます。
そこで、塗装工事を行うことで、新築当初の鮮やかな色合に回復させて、美観を維持する目的があります。
✅コケ、藻、カビの付着を防ぐ
初期塗装が劣化してしまうと、防水性能が徐々に失われると同時に、コケ、藻、カビが付着しやすくなります。
コケ、藻、カビは、見た目が悪いだけでなく、スレート屋根材に根を張ってしまいます。この場合、スレート屋根の内部に水分が浸透しやすくなり、劣化が早まってしまいます。
✅浮きや反りを防ぐ
スレート屋根は薄い屋根材なので太陽熱の影響を受けやすいです。
スレートが水分を吸水する状態になり、晴れた日に乾燥することを繰り返していると、薄いスレート屋根は、スルメの干物を火で炙ったときのように反ってしまいます。
反りが生じてしまうと、スレート屋根が浮いている状態になり、大きな隙間が生じて雨水が浸透しやすくなり、雨漏りの原因にもなってしまいます。
スレート屋根に浮きや反りが生じた場合、これを直すことはできません。
そのため、雨水を吸水する状態になる前に、塗装により防水性能を回復させる必要があるわけです。
スレート屋根を塗装する時期

スレート屋根の塗装はどの段階で行うべきなのでしょうか。
✔新築、前回塗装から10年以上経過している場合
新築時、または、前回塗装時から10年以上経過している場合は、どんなに優れた塗料を使っていても、劣化が始まっているはずです。
屋根塗装は完全に塗膜がだめになってからではなく、まだ早いかなと言うタイミングで行うのが理想です。
なぜなら、完全に塗膜がだめになってからだと、スレート屋根材に、浮きや反り、更に欠けや割れが生じてしまい、塗装しても意味がない状態になってしまうからです。
✔コケ、藻、カビが付着しているのが分かる場合
コケ、藻、カビが付着している場合は、塗膜の防水性能が失われて、コケ、藻、カビが根を張りやすい状態になったことを意味します。
このまま放置した場合は、スレート屋根の劣化が更に進んでしまい、塗装だけではメンテナンスできない状態になるので早めに塗装工事を検討すべきです。
スレート屋根に塗装しても意味がない劣化症状
スレート屋根の劣化症状が深刻な場合は、塗装しても元通りに回復させることができないこともあります。
塗装では、対処できない劣化症状を紹介します。
✔スレート屋根に浮きや反りが生じている場合
スレート屋根に、浮きや反りが生じている場合は、塗装しても、浮きや反りの状態を元に戻すことはできません。
塗装時に押し付けたりして直してもらえないのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、反ったスレート屋根を無理やり押し付けると、割れてしまいます。
目立つ反りが一部分に留まる場合は、その部分だけ差し替えできるケースもあります。
ただ、一部でも反りが生じている場合は、既に屋根の劣化が相当進んでいることが考えられるため、塗装すべきか検討する必要があります。
✔スレート屋根にひび割れしている箇所がある
スレート屋根にひび割れが生じていることがあります。
ひび割れは物がぶつかった場合でなければ、劣化によって自然に発生したものがほとんどです。
このひび割れは塗装したとしても埋めることはできません。
外壁と違って屋根の場合は、ひび割れは、雨漏りに直結しますので、ひび割れた部分の交換などを検討すべきです。
ひび割れが広範囲に生じている場合は、もはや塗装だけでのメンテナンスは難しいということになります。
✔スレート屋根に割れや欠けが生じている
スレート屋根伸び干割れがさらに深刻化して、既に割れたり欠けてしまっている場合です。
塗装では対処できないので、割れたり欠けた部分を交換する必要があります。
割れや欠けが広範囲に広がっている場合は、塗装することはできないため、他の方法を検討する必要があります。
塗装できない無石綿スレートとは?
現在、新築で使われているのは、無石綿スレートです。
無石綿スレートのうち、石綿(アスベスト)の規制が始まった2000年前後の時期に販売されたものは、十分な耐久性がなく、現在、様々な劣化症状が表れていて、大きな問題となっています。
もしも、お客様宅の屋根に次のような屋根材が使われている場合は、塗装できない可能性があるので注意してください。
・ニチハ パミール
・コロニアルNEO
・セキスイ かわらU
・クボタ アーバニー
・松下電工 レサス
・松下電工 シルバス
こうした屋根材は、寿命が短い上、割れや層間剥離が著しく、塗装作業前の高圧洗浄ができません。
2026年の時点では、こうした屋根材のほとんどが、相当に劣化が進んでいて、ボロボロの状態になっているはずです。
スレート屋根に塗装できない場合の屋根の修理方法
スレート屋根に塗装できない場合は、屋根をどのように修理したらよいのでしょうか。
主な方法は次の二つです。
・屋根カバー工法
・屋根の葺き替え工事
それぞれの特徴を紹介します。
✅屋根カバー工法
屋根カバー工法とは、既存の屋根材の上に、防水シート(ルーフィング)を敷き、その上に、新しい屋根材を葺く方法です。
つまり、既存の屋根の上に屋根を被せる工法を意味します。
現在の屋根材がスレート屋根ならば軽い屋根材のため、屋根カバー工法を採用しやすいです。
新しい屋根材としては金属屋根を利用するのがおすすめです。
ただし、屋根カバー工法は、下地がしっかりしていることが前提になります。
下地の野地板が腐っている場合などは、新しい屋根材を保持する力が足りず、台風などの際に剥がれてしまう可能性があります。
特に、雨漏りが発生している場合は、野地板も傷んでいる可能性があるので、よく検討する必要があります。
また、屋根カバー工法を採用した場合、次の屋根工事では、二重の屋根を剥がさなければならないことになり、工事費用が高額になります。
特に、石綿スレートの場合、撤去費用が高額になるので注意が必要です。
✅屋根の葺き替え工事
屋根の葺き替え工事とは、既存の屋根材をすべて撤去したうえで、新しい屋根材に替える工事方法です。
屋根カバー工法では、屋根の重量が増えてしまい、耐震面で不利になりますが、古い屋根材を撤去すればその点で有利になります。
また、下地から新しくすることができるため、屋根についてはこの先、長い期間に渡り心配する必要がなくなります。
特に雨漏りが発生しているというケースでは、野地板も傷んでいる可能性が高いので、一度全部撤去して、新しく工事し直したほうが、台風などの強風時も安心です。
関連記事▷屋根のカバー工法とは? 詳しく解説!
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まとめ
スレート屋根は、定期的な塗装工事が必要になりますが、劣化状態が著しい場合は塗装では対応できないため、屋根カバー工法や屋根の葺き替え工事が必要です。
ウェルスチールは埼玉県春日部市を中心に首都圏で瓦、屋根修理、塗装工事や雨漏り修理を承っている職人直営店です。
スレート屋根の塗装やメンテナンスにも対応していますので、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。


