2023年8月24日
近年、金属屋根として、外壁として、屋根の部材として普及しているのがガルバリウム鋼板です。
これは高い耐久性、軽量、長い耐用年数であるにもかかわらず、比較的安価で利用できるというもので、数多く使われるようになったというものです。
しかし最近そのガルバリウム鋼板を超える性能として注目されているのが「エスジーエル(SGL)鋼板」です。
ここではそのエスジーエル鋼板がどういったものなのかということについて紹介していきたいと思います。
では実際にエスジーエル鋼板とはどういったものなのでしょうか。
ここではその特性、特徴について紹介していきます。
エスジーエル鋼板(SGL鋼板)は細かく分けると「S」と「GL」とに分かれています。
「S」は「素晴らしい」「優れている」「Superior(上質な)」「Special(特別な)」「Super(超越した)」といった単語の頭文字からきているとされています。
「GL」とは「ガルバリウム鋼板」を意味しています。
つまり「SGL」とは「スーパーガルバリウム」というという意味となり、名前の通りガルバリウム鋼板を進化させたものと言えます。
ガルバリウム鋼板は50年ほど前にアメリカで開発された高性能な鋼板ですが、その鋼板をさらに進化させた性能となっています。
まさに次世代のガルバリウム鋼板と言えるでしょう。
エスジーエル鋼板を提供しているメーカーは、「日鉄鋼板株式会社」というガルバリウム鋼板の先駆者的な存在の会社です。
日本製鉄グループのグループ会社でもあり、建材薄板業界の中でもトップ企業として知られています。
エスジーエル鋼板の最大の特徴は防食性と耐久性が高いということです。
ここではその仕組みについて紹介していきます。
エスジーエル鋼板はガルバリウム鋼板をベースにしながら「メッキ組織」を大幅に改良することによって性能を高めることに成功しています。
ガルバリウム鋼板は「亜鉛+アルミニウム+シリコン」によって構成されていましたが、エスジーエル鋼板は「亜鉛+アルミニウム+シリコン+マグネシウム」という構成で成り立っています。
マグネシウムはアルミニウムや亜鉛メッキと組み合わせることによって「亜鉛系酸化物質」が生成されて安定化されます。
こういった成分は水に溶けていきにくいために屋根材として適しているのです。
さらに電子伝導率が低いために腐食電流を抑制するという性質もあります。
これらの効果によってエスジーエル鋼板はガルバリウム鋼板の「約3倍」の耐久性を持っているとされているのです。
エスジーエル鋼板のアルミニウム含有率は55%となっています。
これは多すぎても少なすぎても効果を発揮するのが難しくなるため、アルミニウムの耐食性機能と亜鉛の犠牲防食作用を両立させる最高のバランスとなっています。
アルミニウム、亜鉛メッキ、マグネシウムが共存することによって亜鉛系酸化物が発生して安定化することがわかっています。
これが高い耐食性、防食性を成立させているのです。
亜鉛メッキにアルミニウムを添加することによって耐食性が向上するのですが、アルミニウムの含有率が高すぎると亜鉛の犠牲防食作用が働かなくなり、鋼板の腐食は進行してしまうこととなります。
そこにマグネシウムを添加することで、亜鉛系酸化物が安定して存在できるようになるのです。
また、このマグネシウムの含有率は「2%」が最適とされており、その絶妙なバランスの組み合わせがエスジーエル鋼板の耐食性、耐久性を高めているのだと言えます。
鋼板は切断した面、端部、傷部などは地金が露出してしまうために錆が出やすくなります。
これは金属屋根ではどうしても発生する部分なのですが、エスジーエル鋼板はこうした部分の腐食についても進行を抑制することが可能となっています。
エスジーエル鋼板の亜鉛リッチ相は亜鉛、アルミニウム、マグネシウムが含まれています。
マグネシウムは亜鉛よりもイオン化しやすいという性質があるために犠牲防食作用を向上させ、
地金の露出部に対しての亜鉛系保護皮膜の形成を促進していくという効果があります。
また、マグネシウムの効用によって保護皮膜が緻密となることで安定化するので、ガルバリウム
鋼板よりも切断端部、傷部の耐食性が期待できるのです。
こうした高い耐食性、耐久性によってメーカー保証もさらに手厚くなっています。
一般的なガルバリウム鋼板については「保証10年(穴あき)」となっているのですが、エスジーエル鋼板では「保証25年(穴あき)」という非常に長い期間の長期保証が付くようになっているのです。
エスジーエル鋼板に限りませんが、金属屋根の最大の敵となるのが「錆」です。
昔の金属屋根、トタン屋根などを見ればほとんどが錆びて劣化しているということがわかると思います。
金属屋根は軽量で頑丈というメリットがあるのですが、とにかく「錆を防ぐ」ということが重要なポイントとなってきたのです。
そのテーマに打ち勝ってきたのがガルバリウム鋼板であり、このエスジーエル鋼板なのです。
エスジーエル鋼板の特徴はとにかく錆びにくいという特徴があります。
特にガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板などのメッキ鋼板の場合は切断面、傷があるとそこから錆が発生しやすくなります。
「設置するときにぶつけた」「台風などの際に物が飛んできて傷をつけた」などによって傷ができてしまうことがあります。
また、金属屋根は設置する際に屋根の形に合わせて切断加工するために、そこが切断面となってしまいます。
エスジーエル鋼板はこうした切断面、傷部についても腐食の進行を抑制できるという強みがあります。
さらにこのように錆に強いということは塩害にも強いということになります。
海に近い建物、海辺の町でも利用価値が高い素材だと言えるでしょう。
沿岸部の建物は常に潮風にさらされるために金属部分が酸化腐食していくということがあります。
そのため、ガルバリウム鋼板では沿岸部から5km以上離れていないと保証が適用されないという決まりがありました。
しかしエスジーエル鋼板は塩害にも強いという強みがあるため、保証適用範囲が500m以上と大幅に短縮されています。
これもエスジーエル鋼板の高い耐食性がなせるわざだと言えるでしょう。
実際にエスジーエル鋼板を使用している屋根材の中でも特に人気となっているシリーズを紹介していきます。
アイジー工業(IG工業)は金属屋根といえばこの会社というほど有名な会社です。
金属屋根に関する製品の品質や実績の信頼が厚い会社でもあり、建築業界でも高く評価されています。
そんなアイジー工業の製品の中でも「スーパーガルテクトシリーズ」は近年看板商品となっています。
スーパーガルテクトは金属屋根のデメリットをうまく抑えた製品だと評判です。
金属屋根といえば「軽量」「頑丈」というメリットがあるのですが、「熱伝導率が良いために暑い」「金属なので雨音がうるさい」といったデメリットがありました。
しかしスーパーガルテクトでは屋根材の結合部や裏面などに細かく断熱材が張られているために熱を通しにくくなっています。
そのために屋根材の結合部分から熱が侵入するということもなく、クッションとなることで雨音も響きにくい仕上げとなっています。
さらにメーカーで「フッ素仕上げ」を選ぶことによって、「穴あき25年、赤錆20年、塗膜変退色20年」という手厚いメーカー保証がつくこととなります。
多くの建物に合わせやすいようにカラーバリエーションも豊富に用意されているので、自分の好みの色を選んで使うことができます。
こうしたメリットが非常に多いスーパーガルテクトは多くのエスジーエル鋼板製品の中でも特に人気の製品となっています。
ニチハは屋根材、外壁材などを幅広く扱う大手建材メーカーです。
近年こちらのニチハの看板商品となっているのが、「横暖ルーフシリーズ」です。
これらの人気の屋根材の中でも「横段ルーフプレミアムS」と「横暖ルーフαプレミアムS」の製品がエスジーエル鋼板を基盤としてフッ素コーティング仕上げがされた製品となっています。
これらの横暖ルーフシリーズの特徴は「止水性が高い」ということです。
金属屋根は基本的に軒先から胸に向かって重ねて葺いていく方法となります。
そのため重なるのは上下の部分だけではなく、左右の屋根材についても接続部ということになります。
そういった接続部分からは熱や雨水などが侵入しやすいのです。
しかし横暖ルーフシリーズは屋根材の横部分の接続する場所に四重の溝が加工されています。
この溝が雨水を防ぐために内部に侵入しにくくなるという設計になっているのです。
また、こちらの横暖ルーフシリーズもスーパーガルテクトと同様に断熱材がしっかりと貼られているために断熱性が高いものとなっています。
まとめ
少し前から金属屋根といえばガルバリウム鋼板というほど広く普及してきたガルバリウム鋼板ですが、近年になってさらに性能が進化した「次世代ガルバリウム鋼板」と呼ばれる「エスジーエル鋼板」が登場してきています。
ガルバリウム鋼板の約3倍の耐久性を誇るエスジーエル鋼板はこれからの金属屋根の中心となっていくのは間違いないと言えるでしょう。
これから金属屋根を考えるという人はぜひエスジーエル鋼板の利用を考えてみましょう。
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