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屋根の豆知識

屋根の「葺き土」とは?

2023年6月29日

葺き土の画像

建物はいろいろな部位によって成り立っています。
その中でも「屋根」には多くの種類があることが特徴です。
近年では金属屋根などが増えてきているのですが、日本では伝統的に「葺き土」「土葺き」屋根が使用されてきました。
そこでここでは「葺き土」「土葺き」について紹介していきたいと思います。

屋根の「葺き土」「土葺き」とはどういったものか

「葺き土」「土葺き」と呼ばれるこの工法は一般的には「土葺き」と呼ぶことが多くなっています。
その名前の通りに「土」を使った屋根の設置工法となっています。
基本的には野地板の上に杉の皮などの下葺き材を敷いた上で粘土のような土を載せ、その粘土の接着力によって瓦を固定していくという方法です。
その葺き方には「べた葺き」と「筋葺き」という二種類があります。

べた葺きとは

「べた葺き」は野地板全体の上に土を敷いて屋根を葺いていく工法です。
屋根の下地部分に不具合があった場合でも全体的に土を敷いてしまうことで、瓦を敷いていくことが可能となります。
土が全体的に敷かれていることによって防火性、断熱性が高いものとなりますが、屋根全体に土が乗っていることによってかなりの重量となります。
建物全体で土と瓦の重さを支える形になりますので、建物に対する負担がかなり大きいものとなると言えます。

筋葺きとは

「筋葺き」は瓦の谷となる部分だけに土を敷いていく工法です。
瓦は土の上に乗る形にはなりますが、瓦がない部分には土は敷きません。
土が筋状に敷かれていくために筋葺きと呼ばれています。
べた葺きと比べると土の量が減るために建物への負担は減りますが防火性や断熱性も低下することとなります。

土葺きの歴史と最近の使用は

古民家の画像

土葺きは日本でも明治、大正、昭和初期ごろに多く使用された工法です。
最近の新築の家で土葺きが使用されることはありません。
これにはいくつかの理由があります。
・土を正確に設置する工法は高い技術が必要となり、施工できる職人が少ない
・屋根が重いことで耐震性が下がる
といったことがあります。

施工できる職人が少ないということは、それだけ工賃、施工費用が高くなるということでもあります。
もちろん地域によっては施工可能な職人がいないということもあるでしょう。

また、特に近年注意されているのは「屋根の重さ」ということです。
屋根が重いと地震が起きた時に建物が大きく揺れることとなります。
建物が大きく揺れることで被害が大きくなるのです。
そのため、近年では屋根材を金属屋根などにして「軽くする」ということが意識されています。
実際に日本でも関東大震災や阪神淡路大震災などの大きな地震があった後には土葺き屋根が減っていると言われています。

たまに疑問に持たれる点として、土葺き屋根に太陽光パネルを設置することができるのかということがあります。
これについては実際に施工された例はありますが、やはり対応していないメーカーが多い、土葺き屋根にはできないことが多くなっています。
もともと土葺き屋根は重量がかなりあるのですが、そこに太陽光パネルを設置するとさらに重量が増加するということがネックとなっています。

▷地震に備えて屋根を軽量化!耐震性の効果と注意点

土葺き屋根のメリットとデメリットとは

ここでは土葺き屋根のメリットとデメリットについて順に紹介していきます。

土葺き屋根のメリットとは

土葺き屋根は屋根の上に土が乗っているため、かなりの重量となります。
その重さに耐えるために建物自体が頑強に作られています。
また、分厚い土が屋根にあることで夏場は太陽光から断熱する効果が期待できるほか、冬場は建物内の暖房効果を高めるということも期待できます。

さらに瓦を通り越して水が侵入した際にも土が屋根に乗っていることによって土が水を吸いこんでくれるということがあります。
その効果によって雨漏りを防ぐことができるだけでなく、雨音の防音効果も期待できます。
その他、防火性も高いといったメリットがあります。

土葺き屋根のデメリットとは

近年土葺き屋根が減少してきていると述べていますが、それはやはりデメリットがあることが関係しています。
大きなデメリットとしては以下の点があります。
地震が起きた際の揺れが大きくなる危険性がある
屋根の重量が重くなるために建物への負担が大きくなる
施工するには高い技術が必要となるため職人が限定される
といった点があるのです。

土葺き屋根からの屋根葺き替えが増加している

土葺き屋根であった建物についても他の屋根材へと葺き替え工事が行われることが多くなってきています。
ここでは現在主流となっている引掛け桟瓦葺きへの屋根葺き替え工事を紹介していきます。

屋根の葺き替え工事とは?詳しく解説!

引掛け桟瓦葺きとはどういったものか

こちらの工法は土によって瓦を固定するのではなく、桟木を設置した上で、そこに瓦を引っ掛けて固定する工法です。
近年瓦屋根の建物の多くはこの工法が使われています。
この工法では、
・野地板にルーフィング(防水紙)を取り付ける
・桟木を取り付けて瓦を葺いていく
・瓦がズレないように釘で固定する
こうして土を使わずに瓦を葺いていく工法が引掛け桟瓦葺きなのです。

引掛け桟瓦葺きに葺き替えるメリットとは

土葺き屋根から葺き替えるにはいくつかのメリットがあります。
まず土葺き屋根のデメリットであった「重量」が軽くなります。
土を使わないことで軽量化することができるために耐震性が上がるというメリットがあります。
もともと土葺き屋根であった建物は頑丈な作りとなっていることが多いため、屋根を軽量化することで高い耐震性を持った家となるのです。
もちろんこれは瓦屋根でない金属屋根に葺き替える際にも同様となります。

ガイドライン工法とはどういったものか

引掛け桟瓦葺きには「ガイドライン工法」というものがあります。
「ガイドライン工法」とは台風、地震、大雨、強風などによって瓦が落下したりすることを防ぐ
ための「建築基準法が求める屋根の性能規定を満たすための工法」を指しており、2001年に制定されています。
このガイドライン工法によって施工された瓦屋根は震度7の地震でも壊れなかったという実験結果が出ています。
実際に東日本大震災の時にもこのガイドライン工法で施工された建物はほとんど被害がなかったとされています。
これはガイドライン工法の仕組みが「建物と屋根の頂点である棟を一体化させて、揺れに合わせて瓦屋根が動く構造」になっていることが理由と言えます。
施工する際には専用の金具を使って建物と棟をつなぎ、さらに瓦同士を銅線でつないでいきます。
そして建物と棟を固定した金具に木材を設置し、瓦を設置していくという方法がとられています。
近年ではこうしたガイドライン工法が標準施工となっており、高い安全性が確保された工法として注目されています。

まとめ
日本では土葺き屋根が利用されてきましたが、「耐震性が低い」「屋根の重量が重い」「施工できる職人が限られる」「施工が高額になりやすい」といった理由からどんどん減少傾向にあります。
土葺き屋根であった建物も引掛け桟瓦葺きや金属屋根などに葺き替えされることが多くなってきているのが現状となっています。
これは「耐震性を高める」ということが関係しています。
この傾向はこれからも続くことが予想されており、昔ながらの土葺き屋根の建物はさらに珍しいものとなっていくでしょう。

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