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屋根の豆知識

塩害によって屋根が受ける影響について解説

2023年10月24日

塩害のイメージ

建物は、その所在地に応じて様々な環境的影響を受けますが、特に注目すべき問題の一つが「塩害」です。

この現象は主に沿岸部で顕著に見られ、適切な対策を講じないと建物の構造材、特に屋根部分が急速に劣化する可能性があります。

本記事では、塩害が発生しやすい地域の特徴、具体的な被害の形態、そして効果的な予防策について、包括的に解説していきます。

塩害の基礎知識

海岸付近では、海水の蒸発により空気中に塩分が含まれます。この塩分を含んだ風が内陸に向かって吹くことで、建築物に影響を与える現象を「塩害」と呼びます。

塩害の主な特徴は、建物の金属部分の腐食を促進することです。建築物には多くの金属製部品が使用されており、例えば以下のような箇所が影響を受けやすいです。

・屋根の金属部品
・窓枠やサッシ
・外壁の金属製素材
・エアコンの室外機
・玄関ドアの金属部分

これらの部分が塩害にさらされると、通常よりも早く劣化が進み、錆びや腐食が発生しやすくなります。そのため、海岸近くの建物では特別な対策が必要となります。

塩害リスクのある地域について

塩害のイメージ

塩害が影響を及ぼす地域について、詳しく見ていきましょう。

塩害の影響範囲

一般的に、海に近いほど塩害の影響は顕著になります。塩害の影響度合いに応じて、以下のように地域を分類することがあります。

・海岸線から200~500m以内:「重度塩害地域」
・海岸線から2km以内:「塩害地域」

しかし、この分類は絶対的なものではありません。実際には、海岸線から5km以上離れた場所でも塩害の影響が見られることがあり、台風などの強風時には10km以上inland内陸まで潮風が到達する可能性があります。

日本は四方を海に囲まれた島国であるため、多くの地域が潜在的に塩害のリスクにさらされています。また、物流の利便性から沿岸部に工業地帯や都市が発展してきた歴史的背景もあり、結果として多くの建築物が塩害の影響を受けやすい場所に立地しています。

内陸部における塩害リスク

興味深いことに、塩害は必ずしも海岸部に限定された問題ではありません。内陸部や山間部でも、特定の条件下で塩害が発生する可能性があります。

例えば、寒冷地や積雪地域では、道路の凍結防止や除雪のために塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩化物が使用されることがあります。これらの物質も金属腐食を引き起こす可能性があるため、こうした地域でも塩害と同様の影響が見られることがあるのです。

塩害による建築物への影響箇所

塩害のイメージ

塩害は建物のさまざまな部分に影響を及ぼします。以下に主な被害箇所とその特徴を解説します。

1. 屋根部分

特に金属製の屋根材や棟板金が影響を受けやすく、腐食や錆びが進行します。これにより、屋根の耐久性が低下し、雨漏りのリスクが高まります。

▷屋根の「棟板金」とは

2. 外装金属部品

建物周辺のフェンスや手すりなどの金属製品も塩害の影響を受けます。美観を損なうだけでなく、強度低下による安全性の問題も懸念されます。

3. 玄関周り

金属製のドアや金具類は塩害に弱く、特に雨の当たりにくい箇所で腐食が進行しやすいです。ドアの蝶番など可動部分は特に注意が必要です。

4. 開口部周辺

雨戸やシャッターも塩害の影響を受けます。特に、収納部分は雨で洗い流されにくいため、塩分が蓄積しやすく、腐食が進行しやすい傾向にあります。

5. 鉄筋コンクリート構造

表面のコンクリート自体は直接錆びませんが、内部の鉄筋が塩分を含んだ水分により腐食すると、コンクリートにひび割れが生じ、建物全体の耐久性が低下します。

これらの箇所は、塩害地域では特に注意深い点検とメンテナンスが必要です。適切な対策を講じることで、建物の寿命を延ばし、安全性を確保することができます。

塩害に弱い屋根材と外壁材

金属 トタン屋根イメージ

塩害地域では、建材の選択が非常に重要です。適切でない素材を使用すると、建物の寿命が著しく短くなる可能性があります。以下に、塩害地域での使用を避けるべき主な建材を紹介します。

1. 一般的な金属製屋根材

スチールやトタンなどの一般的な金属製屋根材は、塩害地域での使用に適していません。これらの素材は以下の理由から問題があります。

・潮風による急速な腐食
・強度低下による構造的問題
・雨漏りのリスク増大
・内部設備への二次的被害

これらのリスクを考慮すると、塩害地域では一般的な金属製屋根材の使用は避けるべきでしょう。

2. 窯業系サイディング

外壁材として一般的な窯業系サイディングも、塩害地域では問題が生じる可能性があります。主な懸念点は以下の通りです。

・セメントベースの素材による塩分への脆弱性
・経年劣化による強度低下
・外観の損傷(ひび割れ、剥落など)

これらの理由から、塩害の影響を受けやすい地域では、窯業系サイディングの使用は慎重に検討する必要があります。

塩害に強い建材

おすすめ屋根材イメージ

塩害地域での建築には、特別な配慮が必要です。ここでは、耐塩害性に優れた建材をいくつか紹介します。これらの素材は、海岸近くの厳しい環境下でも高い耐久性を発揮します。

1. ステンレス

一般的な金属とは異なり、特殊な合金組成により優れた耐食性を持つステンレス鋼があります。表面に保護膜を形成し、塩分による腐食を効果的に防ぎます。

2. 樹脂サイディング

最新の合成樹脂技術を用いた外装材は、塩害に対して高い抵抗力を持ちます。軽量で耐久性に優れ、メンテナンス性も高いのが特徴です。ただし、日本での普及はまだ限定的で、施工可能な業者が少ないという課題があります。

3.ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は、従来の金属屋根よりも格段に優れた耐食性を持っており、アルミニウムや亜鉛などの保護層が塩害からの防御を担います。さらに、最新の耐食塗料を施すことで、より高い耐塩害性を実現できます。

▷人気を集めている「ガルバリウム鋼板」とは?メリット・デメリットを解説

4.SGL鋼板

最新の金属工学技術を駆使したSGL鋼板は、従来の耐食鋼板を大きく上回る性能を誇ります。特殊な元素を添加することで、表面の保護層をさらに強化し、極めて高い耐食性を実現しています。耐久性に優れ、メンテナンス頻度の低減にも貢献する革新的な建材として注目を集めている建材です。

▷ガルバリウムよりも高性能?次世代の「エスジーエル(SGL)鋼板」とは?

塩害対策に効果的なメンテナンス

メンテナンス イメージ

塩害によって建材が大きな損傷を受けてしまった場合、残念ながら交換せざるを得ません。しかし、適切な予防策を取ることで、被害をできるだけ小さく抑えることができます。建物を長持ちさせる秘訣は、定期的な手入れと適切な対応にあります。

以下に、塩害から建物を守るための実用的なお手入れ方法をご紹介します。

塩分を取り除く洗浄作業

建物の表面に付いた塩分は、こまめな洗浄で効果的に取り除くことができます。特に、強い風が吹いた後は、この作業が大切です。

雨があまり当たらない場所を中心に洗い流すことをおすすめします。雨が直接当たる部分は、自然と洗浄されるからです。

洗浄する際は、水圧の弱い流れを使うのが良いでしょう。

強くこすったり、高い水圧で洗ったりすると、建物の外側を傷つけたり、中に水が入り込んだりする恐れがあります。

定期的な塗装

建物の寿命を延ばすには、計画的な塗装が不可欠です。通常の環境下では塗装の寿命は約10年ですが、塩害地域ではより頻繁な対応が求められます。

塩分の影響を考慮すると、5~8年ごとの塗り替えがよいでしょう。これにより、建物の防水性能を維持し、構造の保護を図ることができます。

特に、塩害に対する耐性が高い専用塗料を選択することで、より効果的な保護が可能になります。こうした塗料は通常のものより高価ですが、長期的には建物の維持費削減につながる可能性があります。

まとめ

海辺に建つ建物は塩分の影響から避けられません。この「塩害」に上手く対応するには、しっかりとした対策が必要です。

特に海に近い場所では、塩に強い建材を選ぶこと、塩から守る効果の高い塗料を使うこと、そして計画的に手入れをすることが大切です。これらの方法を組み合わせると、建物を長持ちさせ、長い目で見て効果的に管理できるでしょう。

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