屋根修理の確定申告について解説
2023年5月3日
屋根修理には、ある程度のまとまった費用が欠かせません。
値上げが続く昨今ですから、確定申告で少しでもお金を取り戻れるなら、それに越したことはないですよね。
基本的に屋根修理にかかる費用は「雑費控除」として扱われます。ただし、条件を満たす場合のみ適用されるのでご注意ください。
屋根修理の確定申告について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。もし悩んだり迷ったりすることがあったら、税務署の職員と相談しながらすすめていきましょう。
屋根修理は雑費控除として扱われる
一般的に、屋根修理にかかった費用は雑費控除として扱われます。しかし所定の条件を満たしていないと対象にはなりません。
雑費控除とは
まず、「雑費控除」の内容からご説明します。これは「自然災害や虫害などで資産が損傷した場合、その修理に使った費用は控除できる」というものです。
所得から屋根修理費用を控除できれば、確定申告の際にかなりの節税となるでしょう。
ご自身で確定申告をする
雑費控除として確定申告する場合、会社でおこなう年末調整とは別に、個人で確定申告しなければなりません。
雑費控除の計算式
雑費控除の計算式は以下の通りです。
1.差引損害額-総所得金額×0.1(10%)
2.災害関連支出額-5万円
1について、まず「差引損害額」を計算することから始めます。これは、損害を受けた資産の金額と、修理で発生した金額を合計したうえで、保険金など下りた金額を引いた額のことです。
次に2の計算をします。災害関連支出額とは、災害により損害を受けた家財を処分するために支払った費用のことです。
1と2、それぞれの計算式で出た数値を比較して、額が多い方が「控除額」となります。
たとえば、総所得が200万円、損害金額100万円、災害関連支出40万円、下りた保険金が50万円だった場合。
上記の計算式に当てはめると、差引損害額は100万+40万-50万=90万円
1.90万-200万×10%=70万円
2.40万-5万=35万円
金額が大きいのは1なので、雑費控除額は70万円です。
屋根修理を雑費控除として確定申告するための条件
屋根修理を雑費控除として確定申告するには、主に3つの条件があります。
「自分のケースではどうなのだろう」と判断に悩むことがあれば、税務署に相談してみてください。
自然災害による損害である
台風やひょう、大雪などで屋根に被害が出ることもあるでしょう。
そのような場合は、屋根修理を雑費控除として申告できます。
自然災害による雨漏りも対象となる
自然災害によって屋根が割れたり欠けたりする事例は珍しくありません。
しかし屋根は一見被害がなくても、「台風をきっかけに翌日から雨漏りするようになった」ということもあるでしょう。
このように、二次被害的な損害も雑費控除の対象になります。
なお、板金の浮き、窓のヒビ、外壁の剥離など“屋根以外の部分”もまとめて申請対象になるので、自然災害が原因で修理した箇所があれば、まとめて申告してください。
屋根の所有者が誰か
他にも、屋根の所有者などの条件も設けられています。
以下に3点記載するので、念のためにご確認ください。
・資産の所有者が納税者
・資産の所有者が納税者と生計を一にする配偶者または親族で総所得金額等38万円以下の人(令和2年分以降は48万円以下)
・生活に必要とされる資産である
屋根修理を雑費控除として確定申告するときの注意点
屋根修理を雑費控除として確定申告する前に、いくつかの注意点を確認しておきましょう。
最長3年にわたり繰り越して申告できる
屋根修理費用は決して安いものではありません。損害額(修理額)によっては、1年の控除だけでは全額差し引けないこともあるでしょう。
そのようなときは、控除しきれなかった分を翌年に持ち越してください。最長で3年にわたり繰り越せるので、翌年・翌翌年も節税効果が期待できるでしょう。
「災害減免法」のほうが、節税効果が高くなることがある
自然災害に対応する法律として、「災害減免法」もあります。災害減免法で対象になるのは文字通り災害による損害のみですが、雑費控除の場合は災害や横領、盗難など適用範囲が広めです(ただ、屋根に横領や盗難は考えにくいですね)。
場合によっては災害減免法のほうが節税効果は高くなるので、「雑費控除」「災害減免法」のどちらで申請するか慎重にご検討ください。(※「雑費控除」「災害減免法」はどちらか一方しか使えません)
<災害減免法の適用条件>
・災害を受けた年の所得総額が1,000万円以下
・災害による損害額が、「住宅の価格」あるいは「家財の価格」の2分の1以上
・雑損控除を受けない
特に年の所得が500万円以下なら所得税が全額免除となるので、年収から「雑費控除」「災害減免法」のどちらを選ぶか判断しても良さそうです。なお、災害減免法は翌年に繰り越して申告できません。
【参考】
所得500万円以下:所得税全額
所得500万円超~750万円以下:所得税額の2分の1
所得750万円超~1000万円以下:所得税額の4分の1
屋根修理を雑費控除として確定申告するときに必要な書類
屋根修理を雑費控除として確定申告する場合、以下の書類を用意しましょう。
・屋根修理にかかった領収書
・自治体発行の罹災証明書
(・マイナンバーカードの写し)
・確定申告書A/Bの第一表と第二表 (※給与所得者は確定申告書A、個人事業主などその他の申告もあわせておこなう方は確定申告書B)
確定申告書A(またはB)の第一表には、雑費控除額を記載します。先にご説明しましたが、計算式は以下の通りです。
差引損害額-総所得金額×0.1(10%)
1.差引損害額-総所得金額×0.1(10%)
2.災害関連支出額-5万円
1と2、それぞれの計算式で出た数値を比較して、額が多い方が「控除額」となります。
確定申告書A(またはB)の第二表には、以下の内容を記入してください。
・損害を受けた資産の種類(「住宅の屋根」など)
・損害の原因(「台風による飛来物」など)
・損害を受けた年月日
・損害額
・損害額のうち保険金でまかなった金額
・災害関連支出額
屋根修理に災害減免法を適用して確定申告するときに必要な書類
雑費控除を使用せず災害減免法で申請する場合、必要な書類は以下の通りです。
・損害状況がわかる書類
・損害を被った資産の取得価格や取得年月日がわかる書類
・災害関連支出の領収書
・罹災証明書の写し
・保険金が下りた場合、保険金等の補填額がわかる書類
自治体によってはさらに節税効果のある制度を設けていることも
お住まいの地域によって多少異なりますが、自治体によっては「住民税の免除」「住民税納付期限の猶予」などの措置を設けていることもあります。
たとえば東京都には「都税の減免」という制度が設けられています。これは災害が起きたときに、納付期限前の税金(住民税、事業所税、固定資産税など)を免除または軽減するというものです。自治体によって扱いが異なるので、詳しくは最寄りの役所にご確認ください。
まとめ
屋根修理の確定申告には、「雑費控除」「災害減免法」の2種類があります。
どちらも適用条件や減税額が異なるので、ご家庭の状況と照らし合わせながら最適なほうをお選びください。
ウェルスチールには、屋根修理の経験が豊富な職人が多数在籍しています。
災害で損傷した屋根をそのままにしていると、大きな劣化や事故につながりかねません。お困りのことがございましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。