築20年以上の屋根に多い劣化サインとは?早期修理の重要性
2025年7月31日
築20年以上経過すると、屋根材の劣化が顕著に現れます。特に、定期的なメンテナンスを行っていない屋根材は、寿命を迎えるほど劣化が進行している場合も多く、屋根のリフォームを必要とする場合も少なくありません。屋根の劣化サインを見逃さず、早期修理することは、余計な手間や費用の発生を防ぐことに繋がります。この記事では、築20年以上の屋根や付帯部分に現れる主な劣化サイン、屋根の劣化を放置すると発生するリスクや屋根修理・屋根リフォームの選択肢などを詳しく解説します。築20年以上の住宅にお住まいの方や、中古住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
築20年以上の屋根に現れる主な劣化サイン
築20年以上の屋根に使用されている主な屋根材ごとに、劣化サインを解説します。
・粘土瓦屋根
・スレート屋根
・モニエル瓦屋根
・金属屋根
粘土瓦屋根
原料の粘土を成形し、高温で焼き上げた粘土瓦屋根は、非常に高い耐久性を持つことで知られています。瓦表面に塗られたガラス質の釉薬が、水分や汚れをはじくため、50~100年以上の耐用年数があるとされています。ただし、台風などの強風による飛来物によって瓦が割れたり、地震による揺れの影響で瓦がズレたりした場合には、部分的な瓦の差し替えやズレた瓦を戻す作業が必要です。
スレート屋根
原料のセメントを薄い板状に成形したスレート屋根は、製造された年代によって3つの原料の違いがあり、耐久性もそれぞれ異なります。アスベストを使用した耐久性の高いものとアスベストを使用していない耐久性の低いもの、耐久性を高めるため改良したアスベスト不使用の次世代スレートの3つです。スレートに共通する劣化症状として、塗膜の弱まりや剥がれがあります。スレートの表面は塗装によって造られた塗膜により、水分や汚れから素材を守っていますが、塗膜が弱まると表面の滑らかさが失われ、ざらつくようになります。次に苔やカビが発生するようになり、最終的には、水分を吸ったスレートが強度を失い、割れたり崩れたりするようになります。塗膜が弱まってきたと感じた初期段階で、塗装によるメンテナンスを行い、防水性を保つことが大切です。
モニエル瓦屋根
モニエル瓦屋根は、セメントと砂利を原料にして瓦状に成形した屋根材です。「瓦」と名前が付いていますが、スレートに近い性質を持ちます。スレートとの大きな違いは、瓦状に成形された形と、表面に着色スラリー層と呼ばれる着色層がある点です。着色スラリー層が弱まると、スレートと同じような劣化段階を辿るため、表面の防水性をいかに維持するかが重要になります。モニエル瓦は、再塗装に専用の塗料を必要とし、古いスラリー層を完全に除去してから再塗装を行わないと、塗装が定着しなかったり本来の防水性能を発揮できない特徴があります。現在では販売されていないモニエル瓦ですが、築20年以上経過している住宅には使用されている場合もあるため、メンテナンス方法の違いに注意しましょう。
金属屋根
薄い金属鋼板に塗装を施した金属屋根は、劣化の初期段階にチョーキングや色褪せが起こります。次に白錆び、赤錆が発生し、最終的には穴が開くこともあります。耐久性の低いトタンと異なり、ガルバリウム鋼板は腐食に強く、穴が開くまで劣化が進行することは稀です。いずれにしても表面の塗膜が弱まると劣化が進行し始めるため、チョーキングや色褪せが確認出来たら、再塗装によるメンテナンスを検討しましょう。
屋根付帯部分の劣化サイン
屋根と同じく、付帯部分の劣化サインも把握しておきましょう。
漆喰の剥がれ
粘土瓦やモニエル瓦は、屋根面同士の合わせ目である棟部に、棟瓦が使用されています。棟瓦と屋根面との間は、漆喰によって隙間を埋めていますが、劣化すると剥がれ落ちて隙間から雨水が侵入します。漆喰は、およそ15~20年ほどで劣化するため、漆喰の詰め直しが必要です。
棟板金の浮き
スレートや金属屋根には、棟瓦に変わって棟板金が使用されています。棟板金は、下地の木材に釘で打ち付けられていますが、経年によって徐々に釘が抜けてくるため、固定が弱まり棟板金が浮いてくる場合があります。浮いた棟板金は、強風によって捲れたり飛ばされたりするケースがあるため、浮かないように定期的に点検し、固定し直す必要があります。
雨樋の破損・歪み・詰まり
屋根に積もった雪や紫外線を原因にした素材の硬化によって、雨樋が破損したり歪んだりする場合があります。また、落ち葉やゴミによって詰まりを起こす場合もあります。雨樋の破損や歪み、詰まりは雨水を思わぬ場所へ運び、雨漏りの要因になる場合もあるため、見つけ次第早めに修理・補修することがおすすめです。いずれの付帯部分も高所作業になるため、修理・補修は自分で行わず、専門業者に依頼するようにしましょう。
屋根の劣化を放置すると発生するリスク
屋根の劣化を放置すると次のようなリスクが発生します。
雨漏りが発生する
最も厄介なリスクが雨漏りの発生です。屋根材の下には防水シートがあり、屋根材が劣化してもすぐに雨漏りが発生するわけではありません。ただし、防水シートが劣化して穴が開いたり裂けたりすると雨水が野地板に達し、屋根裏に浸入します。雨漏りは見えない場所にカビを発生させたり、漏電を引き起こす場合もあり、修理には多くの時間やコストがかかる傾向にあります。
構造躯体に影響が出る
気づかないうちに進行した雨漏りを放置すると、屋根裏の骨組みである構造躯体を腐食させることに繋がります。腐食した構造躯体を修復するには、屋根を解体するなど大掛かりな工事が必要になり、費用も高額になります。
保険適用外になる可能性
台風などの自然災害による屋根の被害は、火災保険で賄えるケースが多くあります。ただし、被害を受けた箇所の原因が「経年劣化によるもの」と判断された場合、保険適用の対象外となります。劣化を放置すると、もしもの場合に保険が適用されず、修理費を実費により捻出しなければならない可能性があります。
屋根の劣化を早期修理する重要性・メリット
屋根の劣化を早期修理する重要性・メリットは次の通りです。
被害を最小限に抑えられる
屋根の劣化を早期に修理すると、被害を最小限に抑えられるメリットがあります。例えば、屋根材が劣化すると防水シートの劣化に繋がり、雨漏りへと発展します。屋根材が劣化した時点で適切な補修やメンテナンスを行えば、防水シートを劣化させることなく、雨漏りを引き起こすこともありません。
修理コストを抑えられる
早期修理は、修理コストを抑えることに繋がります。雨漏りが発生し、構造躯体の腐食が起きれば、大掛かりな工事と共に高額な修理費が必要になります。劣化の初期段階で対応できれば、再塗装にかかる費用のみに抑えられるため、余計な出費をせずに済みます。
資産価値を維持できる
住宅の売却を検討する場合、屋根の劣化や雨漏り、構造躯体の損傷があれば資産価値は下がります。早期修理を行うことで住宅を健全な状態に保ち続けることができるため、築年数に応じた資産価値を維持できます。
屋根修理・屋根リフォームの選択肢
屋根修理や屋根リフォームを行う場合、次の3つの選択肢があります。
✅部分補修
屋根材の一部が割れたりひびが入った場合には、部分的な屋根材の交換やひびをシーリングなどで補修するといった修理方法があります。特に粘土瓦の場合は、一枚単位の交換ができるため、修理時間がかからず費用も少額で済みます。スレートの場合は、ひびの補修はできますが、屋根材一枚単位の交換は推奨されていないため、ある程度の時間と費用を要します。モニエル瓦の場合は、販売が終了しているため、部分的な交換ができません。次に解説する「カバー工法」や「葺き替え」を検討しましょう。
✅カバー工法
既存の古い屋根の上から、新しい屋根材を被せるように施工するのがカバー工法です。屋根が二重になるため、断熱性や遮音性が向上するメリットがあり、「葺き替え」ほど費用もかかりません。ただし、既存の屋根材の種類によっては施工できないほか、劣化が進み過ぎていたり、複数個所から雨漏りを起こしている場合にも、カバー工法による屋根の修理はできません。また、屋根部分が重くなるため、重さに耐えられる住宅の構造であることも、カバー工法によって屋根のリフォームを行う上で大切な条件の一つです。
✅葺き替え
葺き替えは、既存の古い屋根材を撤去し、新たな屋根材を設置する屋根のリフォーム方法です。古い屋根材と異なる屋根材を使用したい場合や、屋根の状態を新築同様にリフレッシュしたい場合に選ばれる方法でもあります。古い屋根材を撤去するため、屋根材の下にある防水シートや野地板の状態をチェックしつつ、状態によって補修や交換ができるメリットがあります。費用はカバー工法よりも高額になり、工事期間も長くなりますが、屋根を根本から新しくできるため、長期に渡って住宅に住み続けたい方や、雨漏りを起こしにくい屋根にしたい場合には、最適な屋根のリフォーム方法です。
まとめ
この記事では、築20年以上の屋根や付帯部分に現れる主な劣化サイン、屋根の劣化を放置すると発生するリスクなどを詳しく解説しました。屋根の劣化を早期発見・早期修理することが、手間も費用も最小限で済む唯一の方法です。劣化が進行する前に点検や再塗装を行い、築年数の多い住宅でも安心して暮らせる屋根にしましょう。
ウェルスチールは、埼玉県春日部市を中心に屋根修理を行う職人直営店です。築20年以上経過した住宅の屋根は、劣化が進み寿命を迎えているケースもあり、まずは点検によって状態を把握する必要があります。長い間点検を行っていない住宅や、屋根に不安を感じている方は、ぜひウェルスチールまでお気軽にお問い合わせください。