波板屋根とは?よく使用される「塩ビ」と「ポリカ」の違いについて解説
2023年9月27日
屋根には多様な種類、材料、形状が存在し、それぞれ独自の特性を持っています。最適な選択は、地域の気候、建物の構造、居住者のニーズなど、様々な要因によって決まります。
本記事では、屋根の選択肢の一つである「波板屋根」に焦点を当てます。特に、波板屋根で頻繁に使用される「塩化ビニル(塩ビ)」と「ポリカーボネート(ポリカ)」という二つの主要な素材について詳しく解説していきます。
波板屋根の特徴とメリット
波板屋根(なみいたやね)は、その名が示すように波状の形状を持つ屋根材です。この独特な設計により、様々な利点が生まれています。
主に建物本体だけでなく、ベランダ、テラス、駐車場、自転車置き場、物置など、幅広い用途で活用されています。
波状の構造が耐久性と強度を向上させるだけでなく、軽量で扱いやすいという特性も備えています。さらに、雨水を効率的に排水する機能も兼ね備えており、溝に沿って水が自然に流れ落ちる仕組みになっています。
簡易的な構造物に適しているのも波板屋根の特徴です。瓦のような重い屋根材と比べ、建物への負担が少ないため、耐久性の面で優れています。
「加工の容易さ」「軽量性」「高い耐久性と強度」といった特性から、波板屋根の人気が高まっています。
また、ホームセンターなどで手頃な価格で入手できるため、DIY愛好家にも人気があります。自らの手で屋根の設置や補強を行いたい方にとって、理想的な材料と言えるでしょう。
ポリカーボネートと塩化ビニル
波板屋根の素材は多岐にわたりますが、特に注目されているのが「ポリカ」と「塩ビ」です。これら2つの素材について詳しく見ていきましょう。
ポリカーボネート(ポリカ)
ポリカーボネートは現在、波板屋根の主流素材として広く採用されています。この合成樹脂は、高い透明性、優れた耐衝撃性、長期耐久性が特徴で、これらの性質が高く評価されています。
透明度が高いため、ベランダやテラスの屋根材として頻繁に使用され、目にする機会も多いでしょう。その優れた性能から、サングラスやゴーグルなどにも使用される versatile な素材です。
耐衝撃性と耐久性に関しては、プラスチック樹脂の中でもトップクラスの性能を誇り、塩化ビニルを大きく上回ります。メンテナンスの頻度も少なく、7~10年程度は問題なく使用できます。
価格の安定性も魅力の一つで、施工業者にとっても扱いやすい素材となっています。多くの業者がポリカーボネート製の波板屋根のみを取り扱うほど、一般的な選択肢となっています。
塩化ビニル樹脂(塩ビ)
「塩ビ」は、ポリカーボネートが主流になる前に広く使用されていた樹脂製屋根材です。柔軟性が高く、コストパフォーマンスに優れ、加工が容易という特性から、DIY愛好家に人気があります。
ホームセンターなどで手頃な価格で入手できるため、個人での購入も容易です。
しかし、取り扱いやすさとは裏腹に、耐候性の低さ、紫外線への弱さ、耐久性の不足、劣化の早さなどのデメリットがあり、近年では使用頻度が減少しています。経年劣化により白濁し、脆くなる傾向があります。
DIY プロジェクトや頻繁なメンテナンスが可能な場合には適していますが、専門業者による本格的な施工には不向きと言えるでしょう。
ガラスネット入り塩化ビニル樹脂
この素材は、塩化ビニル樹脂にガラス繊維のネットを組み込み、耐久性を向上させたものです。
通常の塩ビの弱点である耐久性を改善し、準難燃性の認定を受けているため、延焼しにくく防火性に優れています。一方で、加工の難しさや扱いにくさという新たな課題も生じています。
標準的な塩ビ製品と比較すると強度は向上していますが、耐用年数は4~5年程度と、依然として短いのが現状です。
ガラスネットの追加により、コストも上昇しています。総合的に見ると、この素材を選択するよりも「ポリカーボネート」を採用する方が効果的であると考えられます。
金属製波板屋根の特徴
近年、金属製の波板屋根が注目を集めています。ここでは、代表的な2種類の金属製波板屋根について解説します。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金でコーティングされた鋼板です。優れた耐食性、耐久性、強度を持ち、15年から20年という長期の使用に耐えます。
住宅だけでなく、工場や倉庫など幅広い建築物に採用されています。遮熱性能も高く、室内の温度上昇を抑える効果があります。
しかし、高コストであることや光を通さない性質から、ベランダやテラスには不向きです。用途に応じて適切に選択する必要があります。
トタン
トタンは従来から使用されてきた金属屋根材で、亜鉛メッキを施した薄い鉄板です。耐衝撃性が高く、軽量で扱いやすいという利点があります。
一方で、錆びやすく耐用年数が5~7年程度と短いのが欠点です。そのため、現在ではガルバリウム鋼板に取って代わられつつあります。
波板屋根の規格とサイズについて
波板屋根には多様な規格とサイズが存在し、建築物の特性に応じて適切なものが選択されます。
現在主流のポリカーボネート製波板には、以下の5種類の規格があります。
・小型鉄波
・大型鉄波
・小型スレート波
・大型スレート波
・広幅小波
これらの名称は素材ではなく、形状やサイズを表しています。
最も一般的な「小型鉄波」の寸法は次の通りです。
・全幅:655mm(有効幅:575mm)
・波の間隔:32mm
・波の深さ:9mm
・波の数:20.5
長さについては、1,820mmから3,030mmまでの5段階が用意されています。
・1,820mm(6尺相当)
・2,120mm(7尺相当)
・2,420mm(8尺相当)
・2,730mm(9尺相当)
・3,030mm(10尺相当)
ポリカーボネート製では3~5尺サイズの規格がないため、必要に応じて長いサイズを半分にカットして使用することがあります。
ガルバリウム鋼板などの他素材でも長さは同様ですが、幅が異なる場合があります。
価格の目安として、1,820mm(6尺)サイズの場合
・ポリカーボネート製:約1,500円以上
・ガルバリウム製:約2,000円以上
となっています。実際の価格は材質や仕様により変動します。
波板屋根の固定方法と使用する金具
波板屋根の設置には、適切な金具を用いて確実に固定することが重要です。ここでは、波板屋根の固定に使用される主な金具について解説します。
ビス
螺旋状の溝が特徴的なこの金具は、木製や金属製の下地に適しています。下地の材質に応じて適切なタイプを選択することで、確実な固定が可能になります。
雨釘
ステンレス製のこの釘は、頭部に傘状の部品が付いています。この独特な形状により、雨水の侵入を防ぎ、木製下地への固定に適しています。
ポリカフック
耐久性と強度に優れたポリカーボネート製の金具です。フック状の先端部分でアルミ製の下地に固定します。下地の幅に合わせて様々な長さが用意されているので、適切なサイズを選択することが大切です。
フックボルト
金属製のこの金具は、先端部分がL字型になっています。L字型のアングル下地に使用され、効果的に波板屋根を固定します。
パイプボルト
パイプ状の下地に使用されるこの金具は、先端部分が湾曲しています。この形状により、パイプに容易に取り付けることができ、安定した固定が可能になります。
まとめ
波板屋根は、その特徴的な波状の構造から名付けられた屋根材です。この独特な設計により、高い耐久性と効率的な排水機能を兼ね備えています。
主にベランダ、テラス、物置などの簡易的な構造物に広く採用されており、素材としてはポリカーボネートや塩化ビニルが一般的です。軽量で加工しやすく、様々な用途に適しています。
「ウェルスチール」ではご住宅の屋根材に多く使用される瓦や金属屋根、スレート屋根の取り扱いは勿論のこと、ベランダやバルコニー、駐車場などに使用される折半屋根まで幅広く施工させて頂きます。