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屋根の豆知識

瓦屋根の修理方法を解説!

2022年12月19日

屋根材として使用されている瓦には、陶器(粘土)瓦、セメント瓦の他に、近年では樹脂とセメントによるハイブリットタイプの樹脂繊維セメント瓦と呼ばれるものがあります。

中でも国内で古くから使用されている代表的な屋根材が陶器瓦で、素材自体には50~60年ほどの耐久性があって、塗り替え(塗装)が不要なことが最大の長所といえます。

したがって陶器瓦はメンテナンスフリーと呼ばれることがありますが、経年と共にずれや欠け、ひび割れ、漆喰の崩れ等が発生することがあり、漆喰の詰め直しや棟瓦の積み直し、破損した瓦の部分的な差し替えなどが不可欠といえます。

また下地のルーフィングや野地板などが劣化してしまうことがあり、定期的な点検やメンテナンスを決して欠かすことはできません。

そこで本記事では、瓦屋根の修理方法を詳しく紹介します。

瓦屋根の修理方法を解説!

瓦屋根の3つの修理方法

前述したように陶器瓦(日本瓦)は、他の多くの屋根材のように定期的に塗り替えを行う必要はありません(ただし、セメント瓦は定期的な塗装工事が必要になります)。

したがって陶器瓦の屋根の修理方法を大きく分けると、屋根全体を修理する「葺き替え」、「葺き直し」と破損して傷んだ部位だけを修理する「部分修理」に分けることができます。

屋根の修理には他に既存の屋根材の上に新しい屋根材を葺く「重ね葺き(カバー工法)」と呼ばれる工法がありますが、瓦屋根の場合には、既存の瓦の上に新しい屋根材を被せて葺くことはできません。

したがって3つの修理方法から最適なメンテナンス方法を選択することになります。

瓦屋根の修理方法別メリットとデメリット

この章では、それぞれの修理方法別の特徴やメリット、デメリットを紹介します。

1.葺き替えのメリットとデメリット

「葺き替え」は、屋根瓦全体を新しい屋根材に交換する修理方法です。

また既存の瓦を新しい屋根材に交換する際には、必要に応じてルーフィング(野地板と屋根材の間に敷く防水シート)や野地板(屋根材の下地)の交換及び補修を併せて行うことも可能です。

したがって瓦屋根が全体的に傷んでいたり、屋根からの雨漏りが発生していたりする場合に有効な方法といえます。

〇メリット

・屋根全体の経年劣化や雨漏りなどの問題を根本的に改善することができる

・屋根材を瓦からガルバリウム鋼板やスレート(コロニアル)などの別の素材に変更することも可能になるので、家のイメージチェンジを行うことができる

またこれによって屋根が軽量化するので、建物の耐震性能の向上が期待できる

〇デメリット

・瓦屋根の修理方法の中では最も費用が高額になる

・工期が長くなる

2.葺き直しのメリットとデメリット

「葺き直し」は既存の屋根瓦を一度すべて取り外して、ルーフィングや野地板などの傷んだ下地部分を補修・交換した後で、元の瓦を使って葺き直す修理方法です。

陶器瓦は素材自体の耐用年数が長いので、屋根から雨漏りしていたり下地のみが劣化していたりするケースでは、葺き直しが最もリーズナブルで的確な修理方法といえます。

〇メリット

・既存の屋根瓦を再利用するため、新たに屋根材の購入費用をかけずに雨漏りや下地の劣化を修繕することができる

〇デメリット

・外観のイメージや建物の耐震性能は、修理する前とほとんど変わらない

・修理費用は「葺き替え」よりもコストを抑えることができるものの、ある程度のまとまった費用が必要になる

3.部分修理のメリットとデメリット

「部分修理」は、瓦屋根の劣化した部分や不具合が発生している部分のみを集中的に補修する修理方法です。

具体的には、棟の取り直し、屋根漆喰の塗り替え、破損瓦の差し替え、瓦のズレ補修(部分葺き替え)、谷板金の交換等があります。

〇メリット

・安価に修理することができる

・工期が短い

〇デメリット

・ルーフィングや野地板などの下地材を根本的に修理・交換することはできな

・築年数が古い場合には、部分修理してもすぐに別の部分で修理が必要になってしまうことがある

・屋根から雨漏りが発生しているケースでは、何度も修理を繰り返すことになる恐れがある

瓦屋根の修理費用と工期

次に瓦屋根の修理費用と工期を詳しく紹介します。

一般的な住宅の3つの修理方法の費用相場と工期は、それぞれ次のようになります。

葺き替え:150万円~(工期10日~)

葺き直し:100万円~(工期7日~)

部分修理:3万円~(工期1日~)

また、部分修理は工事内容によって費用と工期が大きく異なり、主な部分修理の費用相場(足場代別途)と工期の目安は次のようになります。

・棟の取り直し

棟とは屋根の面が合わさっている部分のことをいい、屋根の一番高い部分のことです。

強風が当たって棟瓦がずれてしまうと雨漏りの原因になってしまうので、棟を一度解体して棟瓦を積み直すことを「棟の取り直し」といいます。

費用は棟ののし瓦が3段程度の場合で10,000~15,000円/m程度になり、工期は1~2日ほどです。

・漆喰の塗り替え

漆喰は主に瓦屋根の棟の部分にある棟瓦の施工などに使われているもので、経年と共に脱落して崩れてしまうので、定期的なメンテナンスが欠かせません。

費用は片面4,000~5,000円/mで、工期は1~5日ほどです。

・破損瓦の差し替え

瓦は台風による飛来物の衝突や地震による振動などで破損してしまうことがあります。

破損して穴が開いてしまったりひび割れしてしまったりした瓦は、雨漏り防止の面でも早急に新しい瓦と差し替えを行う必要があります。

費用は5枚程度まで15,000~20,000円程度で、工期は1日です。

・瓦のズレ補修

瓦は台風などの強風でズレが生じたり、欠落してしまったりすることがあります。

このような場合も雨漏りの原因になってしまうことが多いので、見つけたら早急に修理が必要です。

10~20分ほどの作業で終了することが多く、1~1.5万円ほどの出張費のみを請求する業者が多いようです。

瓦屋根の修理が必要な時期

瓦屋根の修理は雨漏りなどのトラブルが発生してから行うのでは遅く、トラブルが発生するのを未然に防ぐために行うことが大切です。

一般的には新築後20~30年目にルーフィングや野地板などの下地材が寿命を迎えるようになるので、屋根材の葺き直しを行ってルーフィングや野地板の交換またはメンテナンスを行います。

そして新築後約50年以上(葺き直し後20~30年後)経過したら、屋根瓦の葺き替えを検討する時期といえるでしょう。

一方、屋根の部分修理については約10年ごとに行う定期的な点検に基づいて行うのが原則ですが、万一不具合を見つけたら早め早めに実施するように心がけましょう。

早めにメンテナンス工事を行うことで、結果的に経済的に修理を済ますことが可能になります。

まとめ

陶器瓦(日本瓦)は初期費用がかかるものの、多くの屋根材の中でも耐用年数が非常に長いので、新築してから30年程度までは他の屋根材と比較してメンテナンスコストが安いのが最大のメリットといえます。

しかし定期的なメンテナンスは不可欠なので、漆喰の崩れや、台風や地震による瓦のズレ、破損などを見つけた時には放置せずに早めに修理しておくことが大切です。

そのまま放置し続けると、雨漏りが発生して構造躯体にまで重大な損害をもたらす恐れがあります。

また簡単な補修であればDIYでも可能なので、修理代を浮かせるために自分で修理する方もいますが、屋根の上での作業は転落の危険があるので絶対にやめましょう。

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