意外と知らない屋根材の選び方!住宅にぴったりな素材とは?
2025年5月1日
住宅の屋根材には数多くの種類があり、性能や価格、デザインは千差万別です。屋根は住宅を守る重要な箇所であるため、それぞれの屋根材を比較検討し、慎重に選ばなければなりません。この記事では、屋根材選びで重要なポイントとポイント別のおすすめの屋根材、屋根材の種類とメリット・デメリットを詳しく解説します。屋根材選びで迷っている方や、新築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
屋根材選びで重要視される3つのポイントとおすすめの屋根材
屋根材選びで重要視される3つのポイントとおすすめの屋根材は次の通りです。
✅価格
✅耐久性
✅デザイン性
☑価格
住宅屋根の施工費用は、屋根の面積や形状、使用する屋根材の種類によって大きく変化します。例えば、ガルバリウム鋼板であれば1㎡当たり6,000円~9,000円ほどですが、粘土瓦では1㎡当たり8,000円~12,000円ほどになります。また、新築時の初期費用だけでなく、定期的なメンテナンスを含めたランニングコストも考えておく必要があります。価格を優先したい場合には、「スレート」や「ガルバリウム鋼板」を選択するのがおすすめです。
☑耐久性
耐久性が高い屋根材は、定期的なメンテナンスの頻度を減らし、ランニングコストを抑えることに繋がるため、屋根材を撰ぶ上で大切なポイントの一つです。耐久性の高い屋根材は、価格が高価になりやすい特徴があるため、価格とのバランスを考えて選択する必要があります。耐久性を優先したい場合には、「粘土瓦」を選択するのがおすすめです。
☑デザイン性
外壁に比べて目に付きにくい屋根ですが、屋根材の種類によってデザインは大きく異なり、住宅全体の印象を左右します。瓦屋根はどっしりとした印象を、金属屋根はシンプルでさっぱりした印象を、アスファルトシングル屋根はモダンな印象を与えます。住宅にどのような印象を求めるのかは人それぞれですが、スタンダードでありながら多様なデザインを選択したい場合には、「スレート」がおすすめです。
後回しにされやすい屋根材の「重量」も大切なポイント
前述した3つのポイントに対して、後回しにされやすい大切なポイントが屋根材の「重量」です。住宅の耐震性を高めたい場合に効果的な方法の一つが、屋根材の重量を軽くすることだからです。これは、高い所にある物(屋根)が重ければ重いほど、住宅の重心が高くなるため地震の際に揺れが大きくなり、反対に軽ければ重心が低くなり揺れが小さくなるためです。地震の多い日本に住宅を建設するうえで、屋根材の重量を抑えて耐震性を高めることは、屋根材選びにおいて優先度の高い大切なポイントなのです。耐震性を優先したい場合には、軽量な「ガルバリウム鋼板」がおすすめです。
新築住宅における屋根材の使用割合
独立行政法人住宅金融支援機構による「[フラット35]住宅仕様実態調査」では、新築住宅の仕様に関する調査・分析を行っており、全国で使用されている屋根葺き材の割合が公表されています。令和5年度の調査結果において、全国的に「ガルバリウム鋼板・ジンカリウム鋼板」が最も高く、使用割合は52.5%でした。次に「スレート瓦」が27.3%と多く、続いて「粘土瓦」が11.0%の使用割合でした。また、屋根葺き材の使用割合は、地域別で大きく異なり、首都圏では「スレート瓦」が49.7%と最も高く、北海道では「ガルバリウム鋼板・ジンカリウム鋼板」の67.7%とともに、「その他の金属鋼板」が27.0%と高い使用割合になっています。
出典:住宅融資支援機構・Ⅱ調査結果の概要1住宅の概要について
屋根材の種類と特徴・メリット・デメリット
屋根材の種類と特徴・メリット・デメリットは次の通りです。
・ガルバリウム鋼板・ジンカリウム鋼板
・化粧スレート
・粘土瓦
・アスファルトシングル
ガルバリウム鋼板・ジンカリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、鉄板にアルミニウム・亜鉛・シリコンをめっきした鋼板です。ジンカリウム鋼板との違いは、商標登録をした企業の違いであり、めっき組成を0.1%変えただけのほぼ同じ物として考えてもらって構いません。金属鋼板ながら、高い耐食性を備えており、トタンに代わる金属鋼板として住宅屋根に多く採用されるようになりました。
メリット | デメリット |
軽量
耐食性が高い 性能と価格のバランスに優れる |
防音性が低い
定期的な塗装が必要 遮熱・断熱性能が低い |
ガルバリウム鋼板・ジンカリウム鋼板は、新築住宅において全国的に使用割合が最も高く、軽量であることから、耐震性を重視する方からも選ばれやすい屋根材です。
化粧スレート
化粧スレートは、セメントに繊維素材を混ぜ薄い板状に加工した屋根材です。比較的安価でデザイン性に優れることから、ガルバリウム鋼板・ジンカリウム鋼板に次いで、多くの新築住宅に採用されている屋根材でもあります。
メリット | デメリット |
安価
施工できる業者が多い カラーが豊富・デザイン性に優れる |
定期的なメンテナンスが必要
苔や藻が発生する場合がある |
さまざまな形状があり、選ぶ楽しさがあるのも化粧スレートの魅力の一つです。スレート表面は塗装によって保護されていますが、塗膜の劣化が進むと表面がざらついてしまうため、苔や藻が発生する場合もあります。防水性能を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。
粘土瓦
粘土瓦は、その名の通り粘土を練り上げ成形し、高温で焼いたものです。表面にガラス質の釉薬を塗ったもの(釉薬瓦)が最も一般的で、古くから多くの日本家屋に採用されてきました。どっしりとした見た目と非常に高い耐久性があり、現在でも根強い人気があります。
メリット | デメリット |
耐久性が高い
遮音性が高い 断熱性・遮熱性が高い |
高価
重量が重い 施工できる業者が減ってきている |
粘土瓦の耐用年数は50年以上とされており、再塗装の必要もないため、漆喰のメンテナンスを除けば、長年にわたって性能を維持できる特徴があります。反面、重量が重いため耐震性を優先したい場合に選ばれにくい傾向にあります。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは、基材のガラス繊維にアスファルトを含浸させ、彩色石やスレート砂などを圧着したシート状の屋根材です。洋風なデザインとカラーを持ち、複雑な屋根の形状にも施工できる特徴があります。
メリット | デメリット |
軽量
デザイン性が高い 複雑な形状の屋根に施工できる |
表面の石粒が落ちやすい
施工できる業者が少ない 藻や苔が発生する場合がある |
劣化が進むと表面のざらつきにより藻や苔が発生する場合があり、定期的なメンテナンスが必要です。塗装メンテナンスには、アスファルトの成分を浸食してしまうため、溶剤系の塗料は使用できません。必ず水性塗料を使うようにしましょう。また、施工できる業者が少ないため、アスファルトシングルの屋根にこだわりたい場合には、施工業者探しに時間がかかる場合もあります。
この他にも、近年主流ではなくなった「セメント瓦」「トタン」もあります。セメント瓦は、セメントに川砂を混ぜ成型し固めて造った瓦で、粘土瓦に比べて安価で製造しやすかったことから、高度経済成長期に広く普及した屋根材です。粘土瓦と似た性能をもっていましたが、表面の塗膜が剥がれ始めるとセメントが水分を吸収するため、劣化が進行するスピードが早く、耐久性への懸念から徐々に使用されなくなっていきました。トタンは、鉄板に亜鉛をめっきした金属鋼板で、安価で軽量といった特徴がありましたが、比較的錆びやすかったため、より錆びにくいガルバリウム鋼板の登場と共に、使用される機会が大幅に減少しました。時代の流れと共に高性能な屋根材が登場し、住宅に採用される屋根材の主流は変化します。
まとめ
この記事では、屋根材選びで重要なポイントとポイント別のおすすめの屋根材、屋根材の種類とメリット・デメリットを詳しく解説しました。屋根材選びにおけるポイントは、価格・耐久性・デザイン性の他に、軽量な屋根材であることも大切です。価格を優先する場合にはスレートやガルバリウム鋼板を、耐久性を優先する場合には粘土瓦を、スタンダードで多様なデザイン性を優先する場合にはスレートを、耐震性を優先する場合にはガルバリウム鋼板をおすすめします。
ガルバリウム鋼板・スレート・粘土瓦・アスファルトシングル、4つの屋根材のそれぞれの特徴やメリット・デメリットを比較検討して、優先したい性能に合った屋根材を選びましょう。
ウェルスチールでは、屋根に関する工事を中心に水回り・防水施工などを手掛けています。春日部市を中心に、近県の住宅トラブルに出張いたします。数多くある屋根材選びでお困りの際にも、お気軽にウェルスチールまでお問い合わせください。