雨樋のオーバーフローは雨漏りの原因に!メンテナンス方法を解説
2023年7月3日
雨樋は建物の屋根から集まる雨水を効率的に排水するための重要な構造物です。しかし、適切に機能しない場合、深刻な問題を引き起こす可能性があります。
特に雨樋が溢れると、建物内部への水の侵入、つまり雨漏りのリスクが高まります。
本記事では、雨樋の機能不全の原因、その修理方法、そして定期的なメンテナンスの重要性について詳しく解説します。
雨樋の溢水の主な要因
雨樋から水があふれ出す現象には、複数の原因が存在します。適切な対策をおこなうためには、まず問題の根源を特定することが重要です。以下に、主な要因を解説します。
雨樋の形状異常
雨樋の形状が変化すると、正常な排水機能が損なわれる可能性があります。主な原因として以下が挙げられます。
・長年の使用による劣化
・激しい気象条件(強風や大雪)による損傷
・高温による変形
また、支持金具の腐食や変形も雨樋の位置ずれを引き起こし、結果として排水不良につながります。さらに、金具から外れた雨樋は歩行者に危険を及ぼす可能性があるため、早急な対応が必要です。
雨樋内の堆積物
雨樋内に様々な物質が蓄積されると、水の流れが阻害されます。特に注意が必要なのは
・落ち葉(特に樹木が近接している場合)
・土埃
・風で運ばれてきたゴミ(ビニール袋など)
雨樋システムは「軒樋」「集水器」「縦樋」で構成されており、これらのいずれかの部分で詰まりが生じると溢水の原因となります。特に「集水器」は堆積物が集まりやすい箇所であるため、定期的な点検が欠かせません。
屋根材の変更に伴う問題
屋根材を変更すると、軒の出幅に変化が生じる可能性があります。例えば、
・スレート屋根から金属屋根への変更
・屋根カバー工法の実施
軒の出幅が大きく変わった場合、雨樋の位置調整や再設置が必要になることがあります。これは屋根材の種類(スレート、瓦、金属など)によって雨樋の最適な位置が異なるためです。適切な調整を怠ると、雨水が雨樋に正しく流入せず、溢れ出す結果となります。
雨樋の機能不全がもたらす多様な問題
適切に機能する雨樋は建物を守る重要な役割を果たしますが、オーバーフローすると様々な問題が発生します。
本来、雨水は雨樋を通じて適切に排水されるべきですが、機能不全により予期せぬ箇所に水が流れ出すことで問題が生じます。雨漏りは代表的な問題ですが、それ以外にも看過できない影響があります。
以下では、雨樋の機能不全がもたらす主な問題点を詳しく解説します。
近隣関係への悪影響
雨樋が正常に機能しないと、雨水の適切な排水が妨げられます。建物が密集している地域では、溢れた雨水が隣家の外壁を汚したり、駐車中の車両に飛び散る可能性があります。
また、雨水の落下音が騒音問題を引き起こすこともあります。歩行者に水しぶきがかかるなど、公共空間での不快な事態も想定されます。
こうした問題を回避するためにも、雨樋の不具合は迅速に対処することが重要です。
微生物の繁殖
雨樋は建物の外装を雨水から保護する重要な役割を担っています。
しかし、機能不全により外壁に直接雨水が当たると、様々な問題が生じます。外壁の劣化だけでなく、建物内部への水の侵入リスクも高まります。湿気の増加は壁内部でのカビの発生を促進し、カビの繁殖は不快な臭気の原因となります。
さらに、カビの胞子を含んだ水分が建物内を移動することで、広範囲に渡る衛生上の問題を引き起こす可能性があります。
このような微生物の繁殖に対処するには、壁の解体を伴う大規模な修繕工事が必要となる場合があります。
構造上の脅威
雨樋の機能不全は建物内部への水分侵入を容易にします。この状況下では、木材の腐朽や金属部品の腐食に加え、シロアリの侵入リスクも高まります。
これらの問題は建物の構造的完全性を脅かし、基礎部分の安定性を損なう可能性があります。特にシロアリの駆除には専門的な対応が必要となり、相応の費用負担も避けられません。
効果的な雨樋のメンテナンス方法
雨樋の機能を最適に保つには、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。以下に、主要なケア方法を紹介します。
定期的なクリーニング
雨樋の詰まりは、多くの場合、落葉や堆積物が原因です。定期的な清掃で多くの問題を予防できます。
・安全な場所からほうきや専用ツールを使用して堆積物を除去
・清掃後は水を流し、排水状況を確認
・高所作業は危険を伴うため、専門家へ依頼しましょう。
部分的な修繕と塗装
軽微な損傷や劣化は、部分的な対応で解決できることがあります。
・局所的な破損箇所の修理や交換
・腐食防止のための再塗装
・他の外装工事と同時に行うことで効率化できる
全面的な交換
雨樋が広い範囲で古くなってしまったり、あちこちで壊れてしまった場合には、雨樋全体を新しいものに取り換える必要があることがあります。
雨樋の手入れをする際には、安全に、そして効率よく作業を進めることが大切です。特に足場を組む必要がある場合は、作業の規模も大きくなり、それに伴って費用もかかってきます。
上手な進め方としては、屋根や外壁の手入れと一緒に雨樋の手入れも行うことをおすすめします。ただし、急いで直さなければならない問題が見つかった場合には、すぐに雨樋だけの工事を行う必要もあります。
▷雨樋修理はどこに頼むべき?屋根修理と雨樋修理の関係性について
まとめ
雨樋がうまく働かなくなる理由はいろいろあります。そのまま放っておくと、建物の見た目や強さに悪い影響を与えるだけでなく、住み心地が悪くなったり、近隣住民の方との関係まで悪くなってしまうかもしれません。
例えば、外壁が傷んだり、雨漏りが起きたり、カビが生えたり、虫が入ってきたりする問題が起こる可能性があります。こういった問題を防ぐには、雨樋の様子がおかしいと感じたらすぐに対処することが大切です。
定期的に点検し、適切な手入れをすることで、雨樋を正しく機能させ、建物全体を長持ちさせ、快適に保つことができます。早めに気づいて対処することが、将来の大がかりな修理や高額な費用を避けるコツです。
【ウェルスチールで行った雨樋修理】